スペイン・セウタに移住者殺到 現地の教区、当局に支援を打診
【セウタ(スペイン)7月31日OSV】スペインのカディス・セウタ教区は7月31日、地元当局に緊急支援の資源提供を申し出た。これは6万人以上の移住者がモロッコからスペインの飛び地セウタに流入し、現地のインフラに負荷をかける事態となったからだ。
7月30日に発表された声明で、同教区は「事の重大さと、この現実から悪影響を受けている多くの人々が、特に弱い立場に置かれていることに」深い懸念を表した。また「教区として、地方政府や行政当局に協力する準備が整っていると繰り返し伝えています。各機関の権限を尊重しつつ連携して、今後さらに発生するであろう、あらゆるニーズへの対応に貢献するために、私たちの人的・物的資源を必要なところに役立てていただけるよう準備しています」と述べている。
スペインの新聞「エルパイス」は7月31日、少なくとも41人の移住者が、エルタラハル国境検問所付近を泳いで渡ろうとして死亡しており、国境付近の海域で救助活動が続いていることから、死者数はさらに増加するとみられる、と報じた。
スペイン本土からジブラルタル海峡を挟んで約18キロに位置するセウタは、アフリカ大陸の北岸にある自治権を持つスペインの飛び地で、国境を接しているのはモロッコだけだ。
エルパイスによると、この危機が明らかになったのは7月30日。数万の移住者――その多くがモロッコ出身者――が、泳いで、あるいは国境付近の防波堤を歩いて越境し、セウタに入った。警察は、移住者の流入は1時間当たりに換算すると、最大で300人が不法入国したことになると発表した。
移住者の流入は過去にもあった。2021年にモロッコ政府が国境規制を緩和すると、8000人以上の移住者がセウタになだれ込んだ。今回はその数を上回り、セウタでの史上最悪の危機となった。
AP通信によると、これほど多くの移住者が突如として越境してきたことで、セウタの人口は50%近く増加したことになり、そのため何千もの移住者は路上や公園で寝泊まりしなければならなくなった。
欧州各国スペインの国境管理を批判
この事態に欧州各国は強く反応した。特にイタリアのメローニ首相は、セウタに数万の移住者が越境してきたことは、「不法に入国する移住者を制限しないなら、欧州の国境の安全保障に対して、目に見える脅威となる」ことを示していると警戒感を表した。
「関連機関を招集しています。そこでの協議後、国境と市民の安全を守るために、非常措置をもって介入する準備があります。それにはスペインとのシェンゲン協定の一時停止も含まれます」と首相は7月30日、X(旧ツイッター)に投稿した。
シェンゲン協定は欧州の29カ国が加盟する協定で、国境管理を廃止し、自由な移動を可能にする。メローニ首相が一時停止に踏み切れば、身分確認や税関での検査が再開されることになる。
フィンランドはメローニ首相の一時停止案を支持し、スペイン政府の国境管理体制を非難した。フランスでは、スペインと接する国境管理を強化するなどの動きがあった。
スペインでは、同国軍がさらなる越境を阻止している一方で、当局は引き続きセウタに残る数万人の移住者への対応に当たっている。
カディス・セウタ教区は、この週末にかけて献金などを集め、それを同教区が運営する移住者センターへ寄付し、「そのセンターが関係機関と連携し、最も緊急に援助を必要としているところを支援します」と発表した。

