熊本地震で犠牲 ベトナム人青年の葬儀ミサ 熊本・手取教会

チャン・バン・ソンさんの葬儀ミサ
7月28日に発生した熊本地震で亡くなったベトナム人信徒、チャン・バン・ソンさん(24)の葬儀ミサが8月1日、熊本市の手取教会で行われた。
ソンさんは地震当日、同県甲佐町の金属加工会社で勤務中、落下した工場の屋根の鉄骨(クレーン)の下敷きとなって亡くなった。ベトナム北部のブイチュ教区、フックディエン教会所属。今年1月、ベトナムから技能実習生として来日し、八代教会(熊本県八代市)のミサに通っていた。
手取教会主任の牧山美好(みよし)神父(福岡教区)によれば、葬儀ミサ当日にも再び強い地震が起こる可能性があるため、ミサの会場は聖堂(1928年竣工)ではなく信徒会館のホールとなった。
ミサはベトナム人司牧を担当するファム・バン・チュエン神父(聖ビンセンシオ宣教会)が主司式し、司祭4人が共同司式した。ベトナム出身の約100人を中心に、修道者、信徒、ソンさんの勤務先の関係者らも合わせて120人ほどが参加し、ソンさんの永遠の安息と、ソンさんの家族らのために祈りをささげた。
ミサにはオンラインを通じてベトナムに残されたソンさんの妻や母親らも参加し、心を合わせた。
この日の福音朗読は、イエスが親しく交わったラザロの死から始まり、イエスがラザロを生き返らせるまでを伝える箇所(ヨハネ11・1~44)。
ミサ説教でチュエン神父は、来日して1年足らずだったソンさんが若くして亡くなったこと、また年下の妻と生後7カ月の子どもを残して亡くなったことを惜しんだ。
また、いかなる困難も「キリストの愛」からわたしたちを引き離すことはできないというパウロの言葉(ローマ8・35~39)に触れ、ミサの前にオンラインを通じて顔を合わせたソンさんの家族との出会いについて分かち合った。
画面の向こうで、ソンさんの妻と母親は言葉もなく涙を流し続けていた。チュエン神父は、聖書の中のイエスもラザロが亡くなった時に泣いておられたこと、そしてイエスは今、ソンさんの妻と母親と「一緒に」泣いておられることを伝えたという。
ベトナム出身の松本ミハンさん(44/福岡市・大名町教会)は、生前ソンさんと面識はなかったが、地震後のニュースでソンさんのことを知り、司祭や修道女、信徒と声をかけ合って福岡から葬儀ミサに参加。「深い悲しみの中にも、厳かで温かさを感じる葬儀ミサ」だったと、こう話した。
「ソンさんが働いていた会社の方、(技能実習生としてソンさんの受け入れなどをした)日本の監理団体の方、ニュースを見て駆け付けた信者ではないベトナム人も来て、心を一つに合わせて、ベトナムのご家族を支えているように感じました」
松本さんは翌日、大名町教会で参加した主日ミサを司式した田中重治神父(福岡教区)が「ソンさんのために祈ってください」と呼びかけるのを聞き、祈りが広がり続けているのを感じているという。

