宗教に関する対立・制約が各国で急増 米シンクタンクが年次報告

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宗教に関する対立・制約が各国で急増 米シンクタンクが年次報告

【ワシントン(米国)6月16日OSV】米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは6月15日、世界の宗教に対する制約の度合いを調査した「第16回年次報告書」を発表した。この報告書によると、データを収集した2023年は、前年よりも多くの国で個人や集団による宗教に関する社会的対立が急増した。この増加の要因には、宗教的少数者に対する嫌がらせや、現在も続いているイスラエルとハマスの武力衝突の影響が挙げられる。
 同時に、2007年以降、より多くの政府が宗教的信仰や表現を厳しく取り締まってきたことも示された。
 同センターは、「世界人口のごく一部を除く」198の国と地域のデータを、各国の憲法、米国務省、国連、欧州連合、FBI、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナルなどを含む19の主要な情報筋から収集して、分析した。
 データは二つの測定基準に従って評価された。一つは「社会的対立指数」で、個人、集団、そして組織による行動、例えば破壊活動や物理的な攻撃などを数値化。もう一つは「政府による制約指数」で、公的に課された宗教上の制約を追跡した。
 同センターは、まとめの統計値は、特にどの宗教が最も迫害を受けたかを発表するつもりはないとしている。というのも、特定の国でたった一つの嫌がらせがあっても、評価の対象になるからだ。
 現在のところ、国際的に認められた宗教的迫害の定義はない。その迫害にはさまざまな形態があるためだ。

 「社会的対立指数」が上昇

 同センターによると、調査した198カ国中55カ国で、「2023年に宗教に関する『社会的対立指数』のレベルが上昇し(『高い』または『とても高い』に分類)」、前年の45カ国を上回った。
 同時に、エチオピアとフィリピンは2023年、宗教上の「社会的対立指数」で減少を示し、同センターの分類の「高い」から「ほどほど」となった。
 ベルギー、ノルウェー、ロシア、スペイン、スウェーデンは、2023年の「社会的対立指数」が「高い」に分類され、コンゴ民主共和国、グアテマラ、シエラレオネ、スーダン、タンザニア、タイ、トルコに並んだ。
 スペインでは、ムスリム(イスラム教徒)、ユダヤ教徒、エホバの証人に対する個人的、集団的嫌がらせによって、2023年の指数を押し上げた。
 ノルウェーでもエホバの証人に対する「攻撃が繰り返された」のと、2023年10月7日にハマスがイスラエルに奇襲攻撃し、その後も戦闘が続いているため、ユダヤ教徒とイスラム教徒に対する「ヘイト・スピーチ」が増加した。
 ロシアではユダヤ教徒とイスラム教徒に対する集団暴行により、「社会的対立指数」が跳ね上がった。

  政府による宗教への制約

 また同センターは、2023年の「政府による制約指数」、政府による宗教団体への言葉や物理的な嫌がらせは、宗教に対する制約の最もよく見られる形態だと指摘した。ここ数年同じパターンが続いている。
 このような嫌がらせは2023年に、185カ国、つまり調査した国の合計の98%で発生し、前年の186カ国とほぼ同水準となっている。
 さらに、宗教的な礼拝への妨害も「政府による制約でとてもよく見られる形態」で、198カ国中175カ国(88%)で報告され、「最多を記録した」。
 世界の25大国の中で、宗教に対する政府の制約が一番高かったのは、中国、イラン、インドネシア、エジプト、ロシア。
 一方で政府による制約が一番低かったのは、南アフリカ、米国、日本、フィリピン、英国。
 重要なのは、北朝鮮はこの調査に含まれていないことだと同センターは注意を促す。「北朝鮮は、宗教とともに、その他の市民的、政治的自由が世界で一番抑圧されている国の一つであることを示す情報源があるからだ」
 同センターは続けて「北朝鮮社会は他国に固く閉じられている」ため、独立した第三者機関が北朝鮮の情報を定期的に得る機会がなく、データ収集が困難だと説明している。

  25大国における「社会的対立」

 人口密度の高い25大国の中で、「ナイジェリア、インド、バングラデシュ、パキスタン、エジプトは、宗教に関する社会的対立が最も高く」、中でもエジプトを除いたこれらの国々は指標の中で「とても高い」に分類されている。
 正反対に、この25大国の中で2023年に「最も社会的対立が少なかった」国は、「中国、米国、南アフリカ、日本、ベトナム」だという。
 過去何年も調査を続け、政府による制約の中央値は「確実に増加傾向」にあるとし、「社会的対立指数」の平均値は変動していることが示された。
 同センターによると、この傾向は「宗教的信仰を政府は弾圧し続け、2007年当時よりもさまざま方法で取り締まっている」ことを示し、その一方で「社会的対立のある国々の数は、何かが発生するごとに増減する傾向がある」と結論付けた。

ナイジェリアの首都アブジャにある聖なるロザリオ・カトリック教会でのミサで、祈る女性たち。ピュー・リサーチ・センターから新たに発表された報告書によると、2023年中に数カ国で宗教に関する社会的対立が急増した。直近となる2023年に調査したデータには、宗教に関して社会的対立の度合いが高い、またはとても高いに分類された国の数はさらに増加した (OSV News photo/Afolabi Sotunde, Reuters)
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