正教会の世界遺産の大聖堂に爆撃 カトリック指導者もロシアを非難
【キーウ(ウクライナ)6月15日OSV】カトリックと正教会の指導者たちは、ロシアのドローン(無人機)攻撃によって、ウクライナのキーウにある歴史的な修道院施設が激しく損傷したことに驚きと怒りを隠さない。施設内の大聖堂が炎上した。
この大聖堂は、キーウ・ペチェールシク大修道院にある神の母御就寝大聖堂で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録されている。複数の文化施設や住宅を標的に、ロシアはウクライナ全土に対し、6月14日から15日にかけて集中的に攻撃し、大聖堂は直撃を受けた。
11世紀に建てられた修道院は、「世界の正教会の最も聖なる場所の一つです」と、米フィラデルフィアに拠点を置く、ウクライナのギリシャ典礼カトリック教会のボリス・A・ゴジアック府主教は6月14日、フェイスブックに投稿した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領によると、ロシアによるミサイルとドローンの集中砲火によって、少なくとも11人が死亡し、53人が負傷した。5歳と6歳の2人の子どもたちが、キーウでけがを負った。
死者の中には、ウクライナ第2の都市ハルキウで救援活動に当たった5人が含まれる。ゼレンスキー氏は、生神女就寝大聖堂の損傷を視察するため、派遣団と共に同聖堂の崩れた屋根に上り、約800平方メートル以上が焼損したことを確認した。
キーウ・ペチェールシク大修道院のウェブサイトによると、ギリシャ語を起源とするラウラ(訳註:「ラウラ」とは一定の地域に散在する隠修士の庵が 1 本の通路で結びついて一つの共同体を構成するものを指す)と呼ばれるこの大修道院は、正教会で特別な意味を持っており、現在のウクライナの領土には三つのラウラがある。その中でも、同修道院は最初に創立された最も古い修道院だという。
「ロシアの侵略者たちは、またしても私たちの首都を、非人道的な方法で攻撃した」と、キーウ・ジトーミルのローマ・カトリック教区のビタリ・クリビツキー司教は6月15日、フェイスブックの投稿で嘆いた。さらに、「ロシア正教会が正教会の聖堂を破壊している」と書いた。
「ロシア側は恐らくまた、ウクライナの防空システムによる被害だと言うでしょう」とクリビツキー司教は言う。「けれども、ロシアがウクライナを侵攻していなかったなら、ウクライナの防空システムも作動する必要はなかったでしょう」
ゼレンスキー氏は「ロシアのドローンは意図的に」、大修道院とミステツキー・アーセナル国立芸術文化博物館が位置する「その場所を狙った」と正式に声明を発表したが、ロシア側は否定した。
ウクライナ侵攻は大量虐殺
正教会の首座主教である、キーウと全ウクライナの府主教は6月15日、X(旧ツイッター)で、ロシアによる同大聖堂への攻撃は、人類に対する、歴史に対する、そしてキリスト教に対するさらなる犯罪だと非難した。
「ロシアの反キリスト勢力が他に何をすれば、世界に断固とした態度を取らねばならないと気づかせ、ロシアによる、ウクライナと平和の原則そのものに対するテロ行為を止められるのでしょうか」
東方正教会で愛されているマリアの呼称をもって同府主教は、「神の母(テオトコス)である聖母マリア、ヘロデを止めてください」と祈り願った。
ゴジアック府主教は今回の攻撃は、「全ての正教会信者が声を上げるようにという呼びかけです」と述べた。またクリビツキー司教は、「正教会の兄弟姉妹たち、亡くなられた方々とけがを負った方々のご家族、そして今日の攻撃で苦しんでいるキーウに住む全ての方々、施設、組織に、心より哀悼の意を表します」と語り、「これはキーウだけのことではありません」と続けた。
「神が、私たちに、攻撃を受けた全ての地域で破壊された生活を再建する力を与えてくださいますように。そして、憎しみ、死と破壊への渇望という、私たちの北東の隣国に巣くう悲惨な病に、私たちがかかることがありませんように」と祈った。
2014年に始まったロシアのウクライナ侵攻は、現在も続いている。米国のシンクタンク「ニューラインズ・インスティテュート」やカナダのNGO(非政府組織)「ラウル・ワレンバーグ人権センター」などによる複数の報告書で、この侵攻は大量虐殺に分類されている。
数件の監視団体によると、700を優に超えるウクライナの宗教施設が、ロシアの攻撃によって、損害を受けたり、破壊されたりしている。

