教皇、スペインのカナリア諸島を訪問 移住者と人身取引の問題に言及、提案も

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教皇、スペインのカナリア諸島を訪問 移住者と人身取引の問題に言及、提案も

【アルギネギン(スペイン)6月11日OSV】教皇レオ14世は6月11日から2日間にわたってスペインのカナリア諸島を訪問し、人身取引の被害者に向けて、力強いメッセージを送った。
 カナリア諸島はアフリカの海岸から一番近い、欧州への入国地点となっている。その中のグラン・カナリア島の南部の海岸にあるアルギネギン港で、教皇は被害者の一人一人に対して次のように語った。
 「あなたのいのちは、あなたを傷つけた人々のものではありません。あなたの体も、あなたを利用した人々のものではありません。あなたが生き抜いた日々は、あなたを恐怖でつなぎとめようとした人々のものではありません。あなたのいのちは、あなたから奪い取ることができない尊厳を与えてくださった神のものです」
 「他者があなたの体に値段を付けても、あなたの計り知れない価値を認めることを神は決してやめられたことはないと知っていてください。もし他者があなたをつらい過去に閉じ込めようとしても、神はあなたの未来を約束し続けてくださいます」
 教皇がこのように述べたのは、「ブレッシング」とだけ名乗るナイジェリア出身の女性の証言を聴いたからだ。安全上の理由から、彼女は姿を現さず、その証言は代読された。それによると彼女は、マフィアの組織犯罪グループによってアフリカから欧州へ連れてこられた。その上、そのグループは彼女が到着した時、2万8千ドル(約400万円)相当の借金を負っていると告げたという。
 「このようにして私の監禁が始まりました」とブレッシングさんは証言に書いている。
 「自国を離れられるようになるまでに6カ月待ちました。その期間はほとんど食べられず、何週間も風呂に入れず、誰にも経験してほしくないような状況に住んでいました。そしてやっと海を渡る時が来ましたが、同じ日に私たちよりも先に出発した人々が溺れて亡くなっていくのを見ました」
 証言を代読していた女性は、ブレッシングさんが犯罪組織の一人から妊娠させられ、生まれた赤ん坊もその男によって連れ去られ、彼女は売春を強要されたというくだりでは、涙ぐんだ。赤ん坊は11カ月になった時、スペイン警察が犯罪グループを逮捕したこともあり、やっと彼女の元に戻ってきたという。

 人間の尊厳にパスポートはない

 カナリア諸島はアフリカの北西海岸沖の大西洋に位置し、七つの主要な火山島からなるスペインの群島。その中のグラン・カナリアは、モロッコ沖から約150キロにある。
 教皇はアルギネギン港で、移住者と協力して働いている地元の組織の人々と面会した。同港はかつて「恥の港」と呼ばれていた。新型コロナ感染症発生当初、移住者の数が急増し、一部の人たちはこの港で寝ることを強要されるなど、悲惨な状況で暮らさざるを得なかったからだ。
 「親愛なる移住者の皆さん、お話をする前に、まず皆さん一人一人のかけがえのない尊厳を思い、頭を下げます。皆さんは、単に書類の上で数えられるだけの存在ではありません」
 「あなたがたのいのちは守られねばならないと伝えたいと思います」「いのちを取引する人々に屈せず、あなたがたのいのちを諦めないでください」と付け加えた。
 教皇は各国政府に、「合法的で安全な経路、救助と支援、人身取引をする集団に対抗する真の協力、被害者のための実効性のある保護、受け入れと統合のための確かな過程、そして全ての人々が自国で尊厳を尊重されながら生活できるための政策」を整備するよう促した。
 さらに教皇は、移住しない権利と呼ぶものの重要性を訴えた。つまりそれは「飢えや戦争、迫害や暴力、居住できない土地、貧しい人々からパンを取り上げる汚職、子どもたちの未来を壊す兵器のない自国で生活し続けられる権利」だと述べた。
 「人間の尊厳にはパスポートはありませんし、国境を越えたからといって、その価値を失うこともありません」
 教皇はカトリック教会に、移住者問題への取り組みにおいて、積極的な役割を果たすよう促し、福音は「私たちを傍観者という居心地の良い場所から引き離し、私たちの前に到着した兄弟姉妹と向き合わせます」と語った。
 「福音は私たちに、砂漠と夜と海を耐えた後、恐れや飢えや暴力によって傷ついて舟から降りる人々の中に、キリストを見いだせるのかと問いかけます」
 この面会の後、海でいのちを落とした移住者たちを追悼し、教皇は花束を海へ投げ入れた。花束が水面を漂う中、教皇は祈りをささげた。
 「聖ペトロの後継者は、このような港の状況を無視することはできません。教会もまたこの海の状況を、飢え、渇き、暴力、恐れ、追放などによって人間の尊厳が傷つけられ続ける場所を、それがどこであっても無視できません」と教皇は強調した。

6月11日、スペインのカナリア諸島の一つ、グラン・カナリア島のアルギネギン港で、海でいのちを落とした移住者たちを追悼し、花束を海へ投げ込む教皇レオ14世 (OSV News photo/Yara Nardi, Reuters)
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