短歌・俳句 6月
◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ
石畳メリージェーンの音響き坂の上には教会の白 はっとり ゑぬ
【評】「メリージェーン」は足の甲にストラップのついた靴、漫画の登場人物の名に由来する。「石畳」、「坂」が靴音の響きを弾ませているが一体誰の靴音だろう。さまざまに想像が広がり映像の浮かぶ楽しさがある。
半身をお湯に打たせて考える言えたかもしれない別の言葉を 矢澤 麻子
もう少し生きて語れと主は我に恵み与えつ声帯残し 秋田 進藤八重子
淡路島岩屋みなとの春の海クリムトの絵の淡きみづいろ 笹浦 泉
セーターのどこに止めようこのトンボ胸に灯ともす布のブローチ 東京 藤木倭文枝
十字路で瀕死のカラスと目の合へど置き去りし我は寝付けずにゐる 横浜 西前 敦子
引退しアイルランドへ帰るひと 生魚喰ふ日本に老いて 熊本 村田 弘子
人ら皆ラインで済ますもポストまでロザリオを繰る花の咲く道 岡崎 𠮷川 光子
この道で良かったのかと振り返る我が足跡は何も答えず 那須烏山 小島 寿子
プラチナ婚元気に迎えし夫と我七の七十倍赦し赦され 長崎 吉田 律子
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◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎
◎金縷梅や風と戯れ縒を解く 川崎 守田 光代
【評】金縷梅の縮れた花弁の特徴が的確に描けた
◎二つ三つ微笑んで咲く桜かな 福岡 鍵山 鈴代
【評】桜が開花する様子が明るく表現されている
春の川弾む水音水の嵩 神戸 内田 泰代
独り身の復活祭を聖堂で 甲府 穴水 公一
棺にも送る人にも花吹雪 秋田 畑山真理子
薄氷の描く光の万華鏡 神戸 涌羅 由美
紫木蓮聖母の如く凛と立つ 日野 広山 弘子
幹の先枝の先まで春日和 大阪 酒井 湧水
山笑ふ木々の言伝ちりばめて 神戸 髙橋たづ子
春泥をわざと踏みたる靴の跡 東京 脇谷 善之
ミモザ咲く小さき花のパワーかな 川崎 吉田千津子
花蜜柑兄と暮らせし二十年 東京 草間をり絵
建築士目指す学生下萌ゆる 神戸 西村みどり
春光や白眩しくて叙階式 福岡 木本 敬子
春寒し磔刑の主の釘の跡 秋田 進藤八重子
貝寄風に押され近づく難波の津 神戸 屋代 弘忠
手をつなぎ散歩する児ら風光る 草加 長谷部禎子
咲くものの香りを載せて風光る 選者吟
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