短歌・俳句 7月
◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ
亡き夫の書棚の 『油断』取り出せばホルムズ海峡遠く波立つ 横浜 西前 敦子
【評】五十年前に刊行された堺屋太一の『油断』はまさしく日本に油が断たれたことを予想しての小説。今、現実となり、その影響は生活の隅々にまで及び始めた。時代の変化と世界の動きが一首に凝縮されている。結句を詩的に収め秀逸。
ワークショップ黄色いクレヨン先に減るみんな光を描きこみたくて
横浜 森山美智子
「満ち満てる」目に見る如き語感にて休む前には祝詞をとなふ
東久留米 平山 努
金の牛AIと化し現れるそは神と成す術無きものを 美唄 小川ますみ
水摂取制限されてこの初夏はひとしほ沁みる聖歌一四四番 川崎 印出美由紀
神の声我が身に届き雪の朝四十四にして主と歩む幸 さいたま 横山 早織
黒澤の名画にありし水車小屋山葵田薫りゴトリと鳴りき 横浜 永井 榮司
音立てて夜中の道路を爆走す若者銀河に飛ぶかのごとく 熊本 矢澤 麻子
嵯峨野なる小寺の庭にひそやかにキリシタン灯一つ建つ見ゆ 浦安 篠塚 歴山
あけぼのの輝く空が攻撃の色とかさなり涙こぼるる 札幌 水島 洋子
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◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎
◎萌えたちて燃えたちてなほ躑躅かな 秦野 小泉早由美
【評】躑躅が色鮮やかに咲く姿を的確に捉えた。
◎校門に写真撮る列入学式 和泉 中里 君子
【評】入学式での家族の喜びが伝わってくる。
夏服の一際大き貝釦 東京 山口 岳人
復活祭ただ一人居る小聖堂 浦安 篠塚 歴山
日の雫優しく溶かし水温む 神戸 平尾 孝子
永遠の今の生命や風光る 伊丹 上野惠津子
喜びに声弾む友風光る 仙台 三宅 温子
名古屋城濠の桜にはねる鯉 名古屋 成田 友子
緑蔭や教皇の声ふかぶかと 西宮 井田 國敬
獄中の受洗記念日雛祭 大分 水嶋 茂士
手垢つく聖書開きて鳥帰る 芦屋 平田ひろみ
菜畑に初蝶の舞軽きかな 福岡 三谷 淑美
自動ドア一歩に開き新緑裡 豊中 岩田 都世
夏近し広き聖堂上着脱ぐ 府中 荒井 美邦
少年の美しき歌声復活祭 大阪 大町 久美
うららかや座ればすぐに睡魔来る 春日井 遠藤 晶子
けふ一日心しづかに花の雨 大分 諸冨 礼子
ふと忘る祈りの言葉春煖炉 長崎 川端 一範
柿若葉色の定まりゆく仔細 選者吟
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