スーダンで神父が射殺、避難準備中に 教会、市民への攻撃をやめるよう訴え
【カウダ(スーダン)6月24日OSV】スーダンのカトリック指導者たちは、罪のない市民に対する攻撃をやめるよう改めて呼びかけた。中部エルオベイド教区の司祭、ユハナ・アル・アミーン神父が殺害されたからだ。アル・アミーン神父はこの地域の治安状況が悪化する中でも、信者たちと共に残ることを選択していた。
アル・アミーン神父は現地時間6月19日の午前10時ごろ、コルドファン地方のヌバ山地にあるカウダで銃撃を受けて死亡した。神父は治安の悪化を受けて、避難の準備をしているところだった。また神父は最近、カウダにある聖なる十字架小教区を任されたばかりだった。
「聖なる十字架小教区の信者、カトリック共同体、善意ある全ての人々が、この悲報に深く悲しんでいる」とエルオベイド教区のユナン・トンベ・トリル・クク・アンダリ司教は19日の声明で述べた。
神父が死亡した状況について、アンダリ司教は、この地域を拠点とする武装組織の一つに属した複数の兵士が6月18日の夜に、教会の敷地内に侵入したと説明。兵士たちは教会施設を破壊、略奪し、人道援助物資保管庫へ押し入り、医薬品と食料を持ち去ったという。
アル・アミーン神父は治安の悪化のため、翌日避難する予定だった。ところが、兵士たちは翌朝、神父が避難する前に教会に戻り、神父が自室にいたところを射殺した。
神父の殺害が起きたカウダは、中立な武装組織、スーダン人民解放軍北(SPLM-N)がほとんどを制圧しているヌバ山地の主要都市。
アル・アミーン神父はエルオベイド教区で殺害された二人目の神父となる。昨年の同時期に、スーダン西部、北ダルフールにあるエルファーシルの教区司祭だった、ルカ・ジョモ神父が流れ弾に当たって死亡した。武装民兵組織の即応支援部隊(RSF)が、敵対するスーダン国軍を追い出すために、故意にエルファーシルを砲撃していたためだ。死亡する前日の6月13日、ジョモ神父も町が包囲されたため、避難する準備をしているところだった。
影響力を持つ国はそれを示すべき時
南スーダンの州都ベンティーウのイタリア人司教、クリスチャン・カラサレ司教は、アル・アミーン神父の殺害は、広範囲で行われている内戦とは無関係とみている。なぜならヌバ山地のほとんどを制圧しているのが中立的なSPLM-Nだからだ。
「けれども、この地域で発生する最近の暴力は、現地の民族的・政治的緊張によって悪化しているように思えます」とカラサレ司教はOSVニュースに語った。
カラサレ司教は、ヌバ山地には多様な言語、文化、アイデンティティーを持つ共同体が集まって暮らしていると説明した。「これらの集団はしばしば、共通の外的脅威に直面した際には団結してきましたが、地域内の問題や利害関係を巡っては対立することもあります」と司教は語り、SPLM-Nはこの地域を小規模な武装組織と共に支配していたが、ここ最近はその武装組織同士で衝突が起き、地元住民にますますしわ寄せが来ている、と付け加えた。
「貧困や食料不足に見舞われ、経済的チャンスが限られてくる中で、犯罪行為も増えています」「もともとは地元共同体を守る味方として見られていた一部の武装組織が、場合によっては、守っていると主張しているまさにその住民たちの不安や苦しみの要因となっています」とカラサレ司教は語る。
一方、SPLM-Nは、自分たちには司祭を殺害する「動機が何もない」と発言。なぜなら、カトリック教会は長年、地元住民の特に教育や衛生面で、重要な役割を果たしてきたからだとした。
人道支援団体は、スーダンの紛争がコルドファンで激化していると警告する。
国連は6月18日、RSFと同盟武装集団がコルドファンを囲んで著しい兵力増強を行い、ドローン(無人機)による攻撃や砲撃を強化しているという報告を受け、「過去2週間で、十数回のドローン攻撃がエルオベイドを襲い、特に燃料スタンドやトラックが標的となり、市民にも犠牲者が出ており、基本的なサービスも受けられないでいる」と声明を発表した。
ボルカー・ターク国連人権高等弁務官は、「エルオベイドに対する差し迫った攻撃は、深刻な国際犯罪に当たり、すでに窮地に立たされている一般市民に壊滅的な影響を与えることになります」と警告。エルオベイドの市民が包囲された状況を18カ月以上も耐えている現状を嘆きながら、「影響力を持つ国々は、この狂気の沙汰を食い止めるために、いまこそその影響力を示す責任があります」と訴えた。

