EU議会、移住者政策を厳格化 欧州司教団「人道的懸念」示す

【ブリュッセル(ベルギー)6月19日OSV】欧州司教委員会は、最近、欧州連合(EU)で承認された移住者に関する新たな規制について、倫理的・人道的に深刻な懸念を生じさせると警告した。強制送還までの期間の大幅な短縮と移住者の収容期間の延長などが含まれているためだ。
 6月17日に発表された声明の中で、欧州連合司教協議会連盟(COMECE)会長であるイタリア・ラティーナ教区のマリアーノ・クロチアータ司教は、各国政府には移住者の流れを管理し、国境を明確にし、人身取引と闘うべき正当な責任がある」というカトリック教会の認識を示した。
 しかし、6月17日にEU議会で採択されたその規制の一部には、「基本的人権と弱い立場の人々の尊厳に対する実質的な保護を弱めてしまうリスク」があるとも言及した。
 「移住者の問題は単に手続きや統計、国境管理の問題ではありません。老若男女すべての人の不可侵の尊厳こそ、あらゆる政策決定の中心に据えられなくてはならないのです」
 EU議会によると、「自国の国籍を持ちながら、第三国に不法滞在する人の強制送還に関する共通規則」として知られるこの枠組みは、加盟国における移住者法の執行を合理化し、同時にその手続きを簡略化し、迅速化することを目的としている。
 EU加盟国の司教団が特に懸念するのは、収容期間の延長に関する項目だ。現在、収容期間は12カ月までという制限があるが、新たな規制では、移住者が協力的ではなかったり、第三国の渡航書類の準備が遅れたりする場合には、最大24カ月まで収容できることになる。

 EU設立時の価値の再確認を

 教皇レオ14世が今月6日から12日までのスペイン訪問の際、カナリア諸島も訪れたことを思い起こさせながら、クロチアータ司教は述べる。欧州が移住者の窮状に無関心であってはならないと、教皇が念押したことは、「私たちの良心」への問いかけなのであり、「恐れや政治的効率を超えて見据えていくべきことだと訴えているのです」。
 「EU自体、人間の尊厳が不可侵で、そのための連帯は任意の理想なのではなく、根本的な責任なのだという確信の上に結成されたのです」と司教は言う。
 さらに司教は、収容施設の設置や国境管理業務がEU域外の国々に移されつつある現状にも懸念を示す。さらに、移住者が自身の移住に関して控訴する場合の強制送還の一時停止も撤廃され、その上、彼らは裁判所や法廷に別途申し立てを行わなければならなくなっている。
 司教は、EU議会に、移住者と収容施設に関する政策が常に人間の権利と尊厳の尊重に立脚するよう求め、避難場所を求める権利、家族単位での保護、そして最も弱い立場の人々への手厚いケアの提供を促した。
 安全と連帯が対立する原理だと考えてはならないと指摘しつつ、司教は、最近のこの法規制は、単なる移住者政策以上のもので、「私たちがどのような欧州を築き上げたいかについて、より広範な問いを投げかけるものです」と言う。
 今が正念場です。欧州は、自らを築き上げた価値から後退するのではなく、勇気と知恵と人間性をもってそれを再認識するよう求められているのです」

6月6日から12日までのスペイン訪問中、教皇レオ14世は11日、グラン・カナリア島のアルギネギン港に立ち寄り、海でいのちを落とした移住者たちのために、花束を海へ投げ入れ、祈りをささげた (OSV News photo/Yara Nardi, Reuters)
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