スイスで聖職者の兵役免除撤廃 キリスト教諸教派、共同で抗議

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スイスで聖職者の兵役免除撤廃 キリスト教諸教派、共同で抗議

【チューリッヒ(スイス)7月20日OSV】スイスのカトリック教会の指導者たちは、伝統的に聖職者に与えられてきた兵役免除が「独断的に」撤廃されたことに抗議している。他の欧州の国々でも同様の改正を後押ししかねない、国の動きだ。
「全てのキリスト教信者は深く憂慮しています。今回の撤廃を支持してはいませんし、私たちの立場を確実に支持してくれています」と語るのは、スイス司教協議会の広報担当のアリアナ・エストレリ氏。
 「決定を下す政府の権限を疑問視している人はいません。けれども教会に関わる重大な法律を改正するのであれば、他にやり方があったはずです」
 司祭や修道士たちが兵役を務めなければならないという初めての法律は、スイスの7人の閣僚で構成される連邦議会で裁決された軍事法の新たな改正で、カトリックの信徒たちにも動揺が広がっている。
 OSVニュースの取材に、エストレリ氏は、スイスのキリスト教諸教派はどの教派もこの改正の過程に招かれておらず、また知らされてもいなかった、と憤る。
 「この改正を加えた人々がどのようにキリスト教の教会を見ているのか、あるいはこの決定がどこまで個人的な感情に振り回されたものだったのかも、私たちには分かりません」
 「けれども、この改正で歴史上の誤りを正すという主張は、はっきり言って間違っています」「国家の緊急事態や紛争発生時にも、教会は常日頃行ってきた通り、日常的な支援や寄り添いを行うからです」とエストレリ氏は語る。
 スイスのカトリック教会には六つの教区があり、ドイツ語、フランス語、イタリア語を話す信者を含む。2025年9月のデータによると、カトリック信者は、全人口約900万人の30%を占める。プロテスタントの福音改革派教会は約20%。ただし、両教会とも信者数とミサや礼拝への参加率は低下しつつある。
 2025年3月の声明で、連邦議会は、軍事法の兵役から聖職者を免除することを規定した第18条は「歴史上の変遷による産物」であり、「時代遅れ」で、もはや「現代の現実」を反映していないため撤廃する、と発表した。
 さらにキリスト教の聖職者は、国の安全、輸送、医療など政府が国の中枢機能を担っていると見なす職業の中には含まれないとした。
 「聖職者を免除する目的は、非常時に民間人に対して地元で霊的なケアを確実に行うことでしたが、ここ数十年にわたる社会的変化――著しい人数の教会離れなど――を鑑みると、司牧的ケアの需要は大きく変わり、聖職者たちはもはやなくてはならない人とは考えられなくなりました」と声明は続けた。
 
 撤廃は「国民への敬意を欠く」決断

 この考え方に反発したカトリック教会、福音派教会、自由教会、復古カトリック教会の指導者たちは7月8日、ギィ・パルムラン大統領に共同で書簡を送った。その書簡で、この条項の撤廃について、議会で議論もされなければ、言及さえもされなかったと抗議した。
 スイスの報道局、RTSのキャスターは、現在は非公開になっているこの書簡は、霊的・司牧的支援はもはや必要ないという政府の「事実上理解しがたい」主張に対する「強い怒り」を表したものだったと述べた。
 スイスのカトリック従軍チャプレンの責任者で、以前は教皇庁(バチカン)スイス衛兵のチャプレンをしていた、ローザンヌ、ジュネーブ、フリブール教区のアラン・ドゥ・レミ補佐司教は7月9日、RTSに、政府の決定は「国民に対して敬意を欠く」もので、「戦時や緊急時となった場合」の予測を不確実にした、と怒りを表した。
 ほとんどの国々では伝統的に、叙階された聖職者が兵役を避けたり、延期したり、従軍チャプレンや市民ボランティアとして登録したりすることが許されている。
 19世紀初頭から正式に永世中立国となったスイスは、常備軍ではなく民兵制を採用しており、18歳から30歳までの男性市民は兵役に服すことが求められている。兵役に不適格とされた市民は、兵役免除税を納めなければならない。
 教会は、パルムラン大統領からの説明を受けてから、今後の方針を決定することになるとエストレリ氏は語る。その一方で、この改正が、スイスで頻繁に開かれる国民投票の一つにもかけられなかったことを残念に思う、と悔しさをにじませた。
 「ここスイスで行われている直接民主主義は、とても特異なもので、他国が踏む手順とは著しく異なっています」
 「大統領には連邦議会が下した判断をくつがえす力はありませんが、全ての教会が共通して持つ深い懸念を表明します」とエストレリ氏は強調した。

スイスのカトリック従軍チャプレンの責任者で、以前は教皇庁(バチカン)スイス衛兵のチャプレンをしていた、ローザンヌ、ジュネーブ、フリブール教区のアラン・ドゥ・レミ補佐司教。同司教は、長年続けられてきた聖職者の兵役免除の撤廃という政府の判断は、「国民への敬意に欠く」もので、「戦時や緊急時となった場合」の予測を不確実にした、と憤る (OSV News photo/Massimiliano Migliorato, Catholic Press Photo)
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