デジタル時代の教育の在り方 教皇回勅、学校との連携が鍵

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デジタル時代の教育の在り方 教皇回勅、学校との連携が鍵

【ローマ5月26日OSV】人工知能(AI)やデジタルメディアが急速に広まる中、教皇レオ14世は、家庭、学校、政策立案者たちに、「デジタル時代に教育界の連携」を築くよう求めた。若者たちの尊厳と知的発達を守ることが目的だ。5月25日に新たに発表された回勅『マニフィカ・ウマニタス』で、「特定の利益や広報戦略のために真実がしばしばゆがめられる時代において、教育の分野は極めて重要な意味を持ちます」と教皇は記す。
 さらに、教皇は教師、家族、大学教員たちに、技術の中に埋没しかねない世代を見捨てないようにと注意を促す。自身の現場での司牧経験から、きわめて率直に話を切り出している。「急速な技術革新によって、教育の分野で私たちはどれほど準備を怠っていたかが明らかになっています」
 「広範囲にわたるデジタルメディア」は「即時性と超刺激性の文化」を助長し、「真理の探究に必要な労力に対し、疲れや倦怠(けんたい)感、無気力を生じさせています」と教皇は述べる。しかし、教育とはそれとは正反対の立場にあり、「忍耐を要する長い旅」と言え、「発達のためには、そしてうわべを超えた現実に向き合うには時間」が必要だ、と強調した。
 教皇は回勅の中で、デジタル大陸についての考察を展開し、「信徒や善意ある人々が、日々の生活、家族関係、職場、社会との関わりの中で」、カトリック教会の社会教説の教えを「実践するという自らの責務を再発見できるよう手助けしたい」と書いている。「こうしてその人たちは、生活の具体的な出来事の中に、神の愛を体現するという目的によって、自らをも力づけてもらいます」

 ネット上の問題を家庭にだけ押し付けない

 AIの台頭によってもたらされる特定の課題に取り組みつつ、この回勅は「全ての技術はそれを使用する人を形づくる」と警告する。
 さらに、早くから監督なしにデジタル環境にさらされることは、深刻な心理的・社会的な弊害を生むとも述べている。例えば、睡眠の質や集中力の欠如、感情の抑制などにマイナスの影響をもたらす一方で、オンライン上の搾取、ネット上でのいじめ、AIによる操作への扉を開いてしまう危険性も指摘する。
 ただそれを防ぐには、現代の家族に大きなプレッシャーがかかることを認め、教皇は「注目と時間を収益化するビジネスモデルの影響に、両親だけで対応することは難しい」としている。そのためにも、「政策立案者、教育施設、各家庭の間での連携」を訴え、その連携によって、この職務に就く大人たちを、目に見える形で支援することができるようになるとした。
 それには「将来を見据えた政策」が必要で、「一握りの人たちに集中する、プラットフォームから得る瞬時の利益が未成年者の健全性と対立したときに、その利害に対抗するためにも政策が必要なのです」と述べる。
 未成年者への「AIに関するコントロールを全て家庭に押し付けるのではなく」、適切な年齢制限を設定するといった法的な介入や、プロバイダーに説明責任を設けたり、「あらゆる形のオンライン上の性的搾取や暴力に対する」明確な保護を設けたりすることを、回勅の中で提案している。

 学校は分かち合う時間を提供する

 教皇は続ける。学校は「新しい世代が真理を求め、愛することを学べる場であり、人生の意味を熟考し、全ての人の尊厳を認めることを学ぶ場でもあります」。しかし、その学校が、デジタル時代の中で力を失っているようだ、と教皇は危機感を表す。
 技術には「私たちの共通の家を癒やし、結び付け、教育し、守る力があります。その反面、分裂させたり、排除したり、新たな形の不正義を生み出すこともできてしまいます」と教皇は警告する。
多くの教育者はすでに、「人間性を失った例を報告しています。つまり、人々は『多くのことを知っている』けれども、人生における方向性を見いだすのに苦労しています。それは、情報をより深いところにある知識と結び付けることができなかったり、目的意識を持ち続けられなかったりするからです」と教皇は言う。
 その答えとして、「真に健全な態度が必要とされています。沈黙と徹底的な研究、読むこと、思慮深い分析を組み込んだリズム(規則性)が必要になります。というのも、それらの要素がなければ、内面の自由が危険にさらされてしまうかもしれないからです」。
 教皇は、教会の社会教説の実現に向け、家庭、学校、カトリック共同体、公共施設に、新たに教育界で連携するよう、回勅の中で繰り返し提案している。
 この連携の中で、学生たちは「節度と限界をわきまえる感覚、他者と将来の世代の権利、つまり人間の創造力によって与えられるか、利用可能となった善を享受する権利の意識、自由と責任、超越感と共通善という感覚を教えられるべきです」。
 「ですから、学校はデジタル世界のペースに合わせるように求められているのではなく、デジタル空間自体が提供できないもの、つまり、学び、信頼できる関係を構築するために分かち合う時間を提供することができるのです。」

5月25日、『マニフィカ・ウマニタス――人工知能の時代における人間の人格の擁護について』(邦題は仮訳)と題された回勅の記者会見で話す教皇レオ14世。回勅の発表は、教皇就任後初となる (CNS photo/Lola Gomez)
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