短歌・俳句 9月

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短歌・俳句 9月

◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ

浮かびくる聖歌黙して歌いたり私はカナリヤ声きカナリヤ   秋田 進藤八重子
【評】時々の思いにふさわしい聖歌が心の底から浮かんでくる。声を失った今も聖歌を歌う。「黙して」の一語が切ないが、声を発していた時より言葉を、旋律を味わっているのではないか。下句が絶唱のように響く。

作品に見入る時間をいとしみて美術館へは杖を持ち行く     横浜 森山美智子
実感の無けれど株価の爆上がり日本が買はれる薄気味悪さ    横浜 西前 敦子
伸び止まぬ木々の勢いそのままに覆い尽くせよ世界の武器を   熊本 矢澤 麻子
この道を歩かう癌は除かれた天より雲雀の声は降り来て     川崎 印出美由紀
二人して眺めしままの忘れ草今日は独りで海風の中       横浜 永井 榮司
種蒔きしビワ実を成してヒヨドリが食し新たに種が地に落つ 東久留米 平山  努
夏空の青いキャンバス神の息対流起こし雲わきい出る      那須 松田 紘子
十階の定家葛にくまん蜂満開の花独り占めして         東京 魚住テルヨ
奥さんと診察室で呼ばれたが妻ではないです私は娘       市原 久本 直子

(作品の応募方法は短歌応募フォームをご覧ください)

◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎

◎置き去りの人形の目や五月闇    豊中 岩田 都世
【評】梅雨の暗さが人形の視線と不気味に重なる
◎親去りて又静まりぬ燕の巣     和泉 中里 君子
【評】親の来た時と去った後の動と静が描けた

神仰ぐイエスの塔や風薫る      大阪 大町 久美
装うて外出の老母五月晴       神戸 西村みどり
山上の主の横顔や夏の雲       横浜 岡野 真弓
新緑に恵み頂き八十路生き      豊橋 赤沢  進
六月のイエスの塔や光満つ     相模原 山浦 修子
捩花や左右巻方自己主張       府中 荒井 美邦
花氷溶けて少女の遠き日よ      大分 諸冨 礼子
花菖蒲隙間をくねる鯉の技      福岡 三谷 淑美
廃屋の紫陽花数ふ散歩道       宇部 中村 清子
どくだみや名こそ惜しけれ白十字 さいたま 古閑 和則
紫陽花や今朝の心のいろ映し     仙台 三宅 温子
梅雨のミサ祈り深まる静けさに    神戸 内田 泰代
黒南風に水平線を失ひぬ       神戸 涌羅 由美
なつかしき声に振り向く復活祭    瑞浪 松原 季佳
紫陽花が七色に咲く神の色      甲府 穴水 公一
砂浜に靴沈みゆく暑さかな           選者吟

(作品の応募方法は俳句応募フォームをご覧ください)


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