短歌・俳句 10月
◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ
蘇る主の御姿ありありと聖堂飾るステンドグラス 名古屋 富井 弘光
【評】ステンドグラスに日が差すと描かれた絵がにわかに生気を帯び、くっきり表れます。作品からは、復活のキリストの御姿が鮮やかに浮かび、光の作用に作者の息の弾みまで伝わってくるようです。
地の底をはるか駆け来て正体をドスンと示す如きぞ余震は 熊本 村田 弘子
小名木川のほとりに住みたるわれならば時空を超えて波郷とも話す 東京 藤木倭文枝
傘差すも日に灼けし肌胸もとにメダイの銀のひかり残れり 長崎 はっとりゑぬ
長靴も混じり明日の行く方へ仲よく揃ふほら家族なり ソフィア 野手美和子
幼子の来たる夕餉は声みちてあまねく荒野を照らす月影 三鷹 関 靜男
猛暑日に初めて行ったがんサロンで冬の星座のやうにつながる 川崎 印出美由紀
梅雨晴れの平標山の山頂にエゾハルゼミの喝采を浴ぶ 横浜 西前 敦子
ネコのごと両手揃えるポーズから子は賃上げの揉み手始める 東京 稲山 博司
推し活はイエス様ヨと公言し週いちライブのミサにあずかる 東京 齊藤 美惠
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◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎
◎ポケットの小銭ならしてゆく夜店 秋田 畑山真理子
【評】嬉々として夜店へ向う子が明るく描けた
◎ラテン語の聖歌涼しくミサ終へる 東京 茅原 健
【評】伝統的なミサの気品を涼しく感じる作者
八月や廊下の奥に十字切る 日野 広山 弘子
波音の遥か彼方や夏帽子 東京 草間をり絵
壮麗に母の日の母美しき 長崎 川端 一範
天上の師へまた問ひぬ夜の秋 横浜 進藤 剛至
わが街に聳ゆ六甲山開 神戸 内田 泰代
梅雨晴や初聖体の子の笑顔 草加 長谷部禎子
片隅にふと目をやれば岩煙草 大阪 酒井 湧水
夏霞金毘羅山は姿消し 長崎 荒井 慎一
極暑なる聖堂前の池静か 浦安 篠塚 歴山
玉砕の島への慰霊夏の海 東京 山口 岳人
時計台十時十分風薫る 川崎 吉田千津子
蝉時雨一樹さながら森となる 神戸 平尾 孝子
母偲びガラスの瓶に矢車草 芦屋 髙嶌 淑子
手を振って入り日見送る夏の海 福岡 木本 敬子
蟻の列我が家へ入る遠慮なさ 春日井 遠藤 晶子
司祭館今日も閉ざされ木槿垣 選者吟
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