【ワシントン(米国)4月27日OSV】米国とイランがホルムズ海峡を巡り対峙(たいじ)する中、カトリック教会の船員司牧の指導者たちは、戦争のさなかに海上で身動きがとれなくなっている何千という船員のために、祈りと支援を呼びかけた。
「取り次ぎの祈りの集いを企画しましたし、多くのチャプレンはどうしたら支援できるのかを探って、何とか連絡を取ろうとしています」と、ステラ・マリスの米国統括責任者のジョアナ・オケレケ修道女は語った。ステラ・マリスとは、カトリック教会の船員司牧を専門に行っている組織で、その名称は「海の星、聖母マリア」から付けられた。
海上の船舶の安全、海洋汚染防止等を担う国連の国際海事機関(IMO)によると、現在約2万人の船員たちがペルシャ湾で足止めされているという。
IMOのアルセニオ・ドミンゲス事務局長は4月16日、CNNの取材に答え、船員たちの状況は「非常に悪い」と語った。
「心の健康や、何の罪もない船員たちが実際に感じている疲労が心配です」と語る一方で、「この地域の国々が、危険があるにもかかわらず、必需品を提供し続けてくれていることに、とても感謝している」と述べた。
しかし、「紛争が長引けば」、海上での状況は「より危機的なものとなります」と警鐘を鳴らした。
ホルムズ海峡封鎖で船員死亡も
イランは、米国とイスラエルによって2月28日に攻撃を受けた数日後の3月4日、公式に、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ海上輸送の要衝ホルムズ海峡を封鎖した。
紛争はその後も続き、米国とイラン双方でこの海峡を封鎖し合い、停戦や延期などの合意にもかかわらず、その状態を続けている。ピート・ヘグセス米国防長官は4月24日の記者会見で、この封鎖は「必要な期間」続けると発言した。
3月には、船舶への攻撃で少なくとも7人の船員が死亡し、IMOのドミンゲス事務局長は3月6日の声明で、海峡の封鎖を「受け入れ難く、支持できない」と非難した。
戦争当初、ステラ・マリスの臨時会長のルイス・クゥインテロ・フィウザ司教は4月17日、全世界のステラ・マリスの担当司教たちに宛て、状況をまとめた文書を、英国のステラ・マリスのフェイスブックに投稿した。
その投稿で、同司教は、現在の戦況、ホルムズ海峡でのさらなる緊迫化、船員への直接的影響について深い懸念を示した。「船員たちは一般の市民で、紛争の当事者ではありません。日々の仕事を通して、家庭を支え、世界の貿易を支援し、共通善のために働いているのです。それにもかかわらず、多くの船員が高い緊張状態の中、恐怖におびえ、先行きも見通せず、実際、危険にさらされて働いています」。また、「ステラ・マリスの全世界の家族に祈りを呼びかけます。特に、危険度の高い地域にいる船員のため、彼らの安全のため、危険から保護されるように、また家で心配しながら帰りを待っている家族のために祈ってください」と記した。
船員たちは一人ではない
ウクライナ出身のフィラデルフィア教区のカトリック司祭で、現在船員司牧の訓練中のパブロ・マカー神父は、OSVニュースに、足止めされている船員たちに、「少なくともある種の安心感」を持ってもらうことはとても重要なことだと語った。
元海軍士官で、商船に関係する技術者の資格を持つマカー神父は、この封鎖によって足止めされている船員たちは、紛争によって一層深刻になったさまざまなストレスに向き合っている、と述べた。
世界の貨物の80%以上が海上輸送されており、それに伴い船員たちは、海洋上で長い期間生活を余儀なくされ、港湾での船積みの厳しい予定に間に合わせなければならない状態だ、と神父は語る。船員たちは時々、「船積みや陸揚げの期限に間に合うよう、24時間から36時間休みなく」働くこともあると続けた。
他にも懸念材料があり、嵐や海賊行為、安全性の問題や「船員遺棄」問題、つまり船の所有者が船への支援を取りやめ、家から遠く離れた場所で船員を立ち往生させ、給与も未払いのまま見放す問題もある、と神父は説明した。
現在、封鎖の影響を受けている船員たちは、「どこで次の食事を取れるのか、空調を調整できるのか、十分な燃料を得られるのかと心配していることでしょう。燃料を得られないまま海に漂っている船もあります」と神父は強調し、このような状況にいる全ての人のために祈りを求めた。
「もともと(船員は)、危険と隣り合わせの職業でした」と神父は語り、ステラ・マリスなど船員司牧の使命は、船員たちと「常に接触を持ち」、「彼らは一人ではないのだと知ってもらうことにあるのです」と、付け加えた。

