米政府、一部移住者への保護資格延長 ウクライナなどが対象も、将来見えず
【ワシントン10月19日OSV】米国のトランプ政権は10月18日、ウクライナとスーダンの移住者たちを強制送還から守る資格の失効が近づく中、延長を決定した。これにより、移住者たちは当面、合法的に米国に滞在し続けられる。
米国政府には、「一時保護資格」(TPS)によって、資格要件を満たした移住者たちを強制送還から守る権限が与えられる。ただし、母国が戦争、災害、その他の社会不安といった危険な状況にあり、移住せざるを得なかった移住者に限っている。そのような中、トランプ政権は、数カ国のTPSを失効させた。その一つがハイチで、ハイチはギャングによる暴力が極度にはびこり、国として危機的な状況に陥っている。一方でエルサルバドルの移住者には、最近になってやっとTPSの延長を決めた。
OSVニュースは、米国土安全保障省(DHS)から書面による声明を受け取った。声明で、同省報道官は、TPSを延長したことを認めたが、理由には触れなかった。同時に報道官は、各国のTPSに関する声明は「適切な時期に発表する」とし、その発表があるまでは、「TPS対象国出身の米国在住の移住者は、その保護資格を継続して保持する」と述べた。
米司教団、政権にTPSの順守求める
米国司教協議会の「移住者のための政策と取り組み」に関する部門の責任者を務めるデビッド・スパイサーさんは10月19日、OSVニュースの取材に応じ、司教協議会は、「TPSの指定方針が今後どうなるか予測がつかないため、TPSに望みをかけている人々が直面する状況を注意深く見守ります」と語った。
スパイサーさんは続ける。「その中には、エルサルバドル、ウクライナ、スーダンからの何十万もの移住者が含まれます。彼らは米国に合法的に滞在していますが、その保護資格や就労許可を突然無効にされる現実にも直面しているのです」「そのため司教協議会は、トランプ政権に、TPS法の条項を順守すること、移住者の母国の状況と、強制的に彼らを母国へ送還することによって人のいのちにかかわる脅威が生じる可能性を慎重に熟慮すること、家族や雇用主、共同体が将来を思い描けるように、TPSの今後について有意義な報告をすることを強く求め続けます」
延長は喜ばしいが、不透明感は拭えない
アメリカ・カトリック大学コロンバス・ロースクールの「移民法・政策イニシアチブ」に関わる法律の専門家のアシュリー・フィーズリーさんはOSVニュースに、DHSの声明は「ウクライナやスーダンからのTPS保持者にとっては喜ばしい延長」である一方で、「米国での生活について、彼らが直面するますます深まる混乱と不透明感は少しも解決されていません」と述べた。
「母国での長引く紛争や戦争に耐えることに加えて、TPS全体を取り巻く現状の不透明な現状を考慮すると、移住してきた人々は、米国での予測がつかない日々の生活を乗り切っていかねばなりません」とフィーズリーさんは指摘する。
「議会がTPSを発案し、法律に組み込みました。次には行政がそれに従って、法律を実施することが求められます」「ウクライナとスーダンは、両国共に『現在も続いている武力紛争』に直面していることは明らかです。これはTPSを指定する際の法律の中で述べられている通りです。そのような移住者が自国に戻ることは、間違いなく安全ではありません」
今年初め、米国最高裁は、トランプ政権にハイチとシリアのTPS指定を終わらせてもよいという判決を下した。カトリックの指導者たちは、自国で危険な状況にさらされる可能性のある移住者たちの保護を求めたが、トランプ政権は、最高裁の判決を受け、ハイチへのTPSを失効させた。それ以降、ハイチの移住者を母国に大量に送還している。この件は、米国司教団が非難している移住者政策の一つで、神が与えた生きる権利、人権、家族としての一致という考えとは相いれないものだと司教団は主張している。

