日米5人の司教が共同声明 NPT運用検討会議開幕に
【サンタフェ(米ニューメキシコ州)4月28日OSV】国連の核兵器不拡散条約(NPT)第11回運用検討会議の開幕に当たり、核軍縮を求める米国と日本の司教たちが4月27日、緊張感と警戒感を声明で表した。アントニオ・グテーレス国連事務総長自身も「核軍縮の枠組みは、瀕死(ひんし)の状態にある」と認めた。
この声明は、米国のニューメキシコ州サンタフェ教区のジョン・C・ウェスター大司教、シアトル教区のポール・D・エティエンヌ大司教、日本の長崎教区の中村倫明大司教、同教区の髙見三明名誉大司教、広島教区の白浜満司教によって署名され、「核の危機が増している」状況の中で、世界は「核兵器を永遠に保有するため、大がかりな近代化計画へと後戻りしつつある」と警告を発した。同会議は4月27日から5月22日まで、ニューヨークにある国連本部で開かれる。
NPT――核軍縮のための主要な法的枠組み――は1970年に発効して以来、5年ごとに運用検討会議が開かれている。1995年に無期限延長されたが、近年は「効力を失いつつある」と国連事務総長は4月27日、同会議で発言し、「数十年ぶりに核弾頭数が増加に転じ、核実験が再度議題に上るようになりました」と嘆いた。「核拡散の機運が加速しています。この条約に再びいのちを吹き込む必要があります」と事務総長は警鐘を鳴らした。
核保有国が条約を弱体化させる
司教たちの声明の中で、米国が日本に核爆弾を投下から78年となる2023年に、この4教区は「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」を結んだことに触れた。「私たちの4教区は、核兵器の誕生の地と、米国で最も多くの核兵器が配備されている都市と、現在までに唯一核爆弾によって被害を受けた二つの都市を代表しています」
司教たちは、前教皇フランシスコの「歩みに倣う」と記した。教皇フランシスコは機会があるたびに――2019年の訪日時も含め――核兵器の保有も「倫理に反する」と発言していた。
また司教たちは、2026年の教皇レオ14世の「世界平和の日」のメッセージを引用し「力による抑止力、とくに核抑止は、法と正義と信頼を基盤とせずに、恐怖と武力の支配を基盤とする諸国民の関係の非合理性を体現しています」と述べた。
この教皇の発言は「問題の核心を突いています」と司教たちは語り、「核保有国が核軍縮につながる真剣な対話への参加を拒否し続けていること」が、NPTを弱体化させていると非難した。
核大国が振りかざす核抑止の理論は、「倫理に反する大量破壊兵器を自国が保有しているという非難をかわすためのものです」。
「ロシアや米国が、わずかな核弾頭数で抑止力にしようとする案にいつも反対するのはなぜなのでしょうか? 核戦争に備えて核弾頭数での圧倒的優位を保ちたいがためなのでしょうか?核を保有する9カ国が、核弾頭を永遠に保有し続けるために、いわゆる『兵器の近代化』計画に莫大(ばくだい)な金額をつぎ込むのはなぜでしょうか?」と司教たちは問う。
核兵器禁止条約に望みをかける
核を保有する9カ国は米国、ロシア、フランス、英国、パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮。
米国科学者連盟によると2026年現在、世界にある核弾頭1万2千331発のうち、ロシアが約5420発、米国が5042発を保有しているという。
核保有国は、その他の国々には核を保有しないと誓わせる一方で、核軍縮に向けて交渉を続けるというNPTの「基本原則」である「保有国側の責任を果たしていない」と司教たちは指摘した。
またNPT未加盟国の3カ国(インド、パキスタン、イスラエル)と2003年に脱退した北朝鮮への拡散を制限する上で、NPTは「絶対に不可欠です」とも指摘している。
しかし、前回(2022年)と前々回(2015年)の運用検討会議は、「核軍縮に向けた具体的な最終文書案の採択には至りませんでした」。「過去2回も最終文書が採択されなかったのですから、今回もうまくいくか分かりません」と司教たちは懸念する。
「核兵器の危機は明らかに、高まっています。力を持つ者が正しいという冷徹な行為が優勢となり、軍縮のための条約は消えてなくなり、核兵器を恒久的に保有し続けるために大規模な近代化計画が進み、私たちは今までの流れに逆行しています」
司教たちは、今年11月に開催予定の国連の核兵器禁止条約(TPNW)の締約国による第1回検討会議に期待をかける。この条約は2017年に採択されたより包括的な枠組みで、核兵器の開発と保有という側面も含まれる。
「バチカンはこのTPNWに署名、批准した最初の国です。私たちは、TPNWがさらに履行される手助けをするため、会議に出席します」と司教たちは望みをかける。(※日本語の声明全文はこちら)

