最も迫害受けるキリスト教信者 バチカン国連人権理事会で発言

目次

最も迫害受けるキリスト教信者 バチカン国連人権理事会で発言

【ジュネーブ3月9日ОSV】教皇庁(バチカン)は、国連人権理事会で、迫害を受けているキリスト教信者のために、信教の自由の保護を徹底するよう訴えた。バチカンは、スイス・ジュネーブに本拠地を置く国連の同理事会の常駐オブザーバー。
 そのオブザーバーを務めるエットレ・バレストレロ大司教は3月3日、ジュネーブで開かれている会議で、世界中で約4億のキリスト教信者が、「迫害や暴力に直面しており、世界で最も迫害を受けている宗教共同体となっています」と発言した。
 「これはキリスト教信者の7人に1人が被害を受けていることを意味します。さらに深刻なことに、2025年は約5000人の信者が殺害されました。これは平均すると1日に13人が殺されていることになります」
 オーストリア・ウィーンが本拠地の「キリスト教徒に対する不寛容と差別に関する監視団体(ОIDC)」から3月5日に発表されたプレスリリースによると、「迫害されたキリスト教信者と共に立つ――信仰とキリスト教的価値を守る」をテーマに開催された会議は、国連人権理事会のサイドイベントで、特にキリスト教信者に対する迫害と差別について取り上げた初めての会議となった。
 「第61回人権理事会の会期中に開かれたこの会議には、世界のキリスト教信者に対する迫害と西洋諸国における信教の自由に対する課題への啓発を目的に、外交官、専門家、市民社会の代表者が集まった」とОIDCは発表した。
 その会議のパネリストの一人として登壇したバレストレロ大司教の発言は、迫害を受けたキリスト教信者のための国際的な支援団体、オープン・ドア・インターナショナルが今年1月に発行した「世界警戒リスト2026」の内容と一致していた。
 そのリストは約50カ国のキリスト教信者への迫害を評価したもので、世界中のおよそ3億8800万人のキリスト教信者がその信仰のために「高水準の迫害と差別」を経験したと報告している。
 大司教は、教皇レオ14世が1月にバチカンに駐在する外交官に対して述べたメッセージから引用し、この憂慮すべき数字は「信教の自由は多くの文脈で、基本的な人権としてではなく、むしろ『特権』あるいは容認されるものとして考えられている」ことを示すと述べた。
 「キリスト教信者にとって、信仰のために殺された人々は、『殉教者』、つまり、力の論理に疑問を投げかける価値観を体現し、自らの信条を語源的な意味で『証しする人』となります」「一方で、国際法の観点から見ると、その人たちは理不尽な人権侵害の犠牲者に当たるのです」
 大司教は続けて、政府には信教の自由を守る「基本的責任」があり、当局は侵害行為の前、最中、その後も人権侵害を防ぎ、信者を保護しなければならないと強調した。

 「礼儀正しい迫害」も

 しかし、信教の自由を巡る最も深刻な問題の一つは、キリスト教信者に暴力を振るったり、迫害したりする人の責任が問われないことだと、大司教は嘆く。
 「免責が宗教への迫害を世界的に見た場合の最も深刻な問題の一つです」と指摘し、「国は何よりもまず、宗教の自由や信教の自由を奨励すべきです。なぜなら、それは基本的な人権だからです」と強調した。
 また大司教は、欧州安全保障機構が2024年に報告したデータを示し、欧州における教会に対する攻撃、破壊行為、放火を含む反キリスト教のヘイトクライム件数が推定764件を記録したと説明する。
 ただ、迫害は必ずしも暴力や簡単に見分けられるものではないとも、大司教は指摘した。キリスト教信者は「ある種の礼儀正しい迫害」にも直面することがあり、その中には「緩やかな疎外や政治的、社会的、専門的な分野からの排除が含まれ、伝統的なキリスト教国においてさえ、これらの現象が見られる」と警鐘を鳴らした。

 欧州の倫理状況への懸念

 大司教はまた、欧州のキリスト教信者が中絶を実施する施設の近くで祈ったり、社会問題について聖書から引用したり、性倫理についての宗教上の信仰を表明したりすることで、迫害に遭っていると警告する。
 大司教はさらに、現在フランスで審議している安楽死法案が可決されれば、キリスト教系の病院やケアホームが安楽死を実施するか、そうでなければ罰金刑、禁固刑を受け、公的資金の補助を失うことになると警告した。
 「安楽死の合法化を目指す多くの国々で、この脅威が現実となるかもしれません」と大司教は懸念を表す。
 「これらは表面的な行為ではありません。全ての人の人権を尊重し、守り、奨励していく責務を負うまさにその当局によって、キリスト教信者の権利の深刻な侵害が行われるのですから。この矛盾を終わらせなければなりません」と大司教は力を込めた。

教皇庁国連常駐オブザーバーを務めるエットレ・バレストレロ大司教。2026年3月3日の会議で、参加者に、世界中で約4億近くのキリスト教信者が「迫害や暴力に遭い、キリスト教が世界で最も迫害を受けている宗教共同体になっている」と話した (OSV News photo/Alessia Giuliani, CPP)
  • URLをコピーしました!
目次