【バチカン6月24日CNS】自分の心の奥底にある思いや感情、問題と格闘することを恐れなければ、心の中を神とそのいつくしみにあふれさせることもできる、と教皇レオ14世は神学生たちに語りかけた。
教皇はさらに、自然と音楽、詩と人々の「声」や、貧しく、抑圧されている人と人生の意味を探し求めている人の叫びにも耳を傾けるよう勧める。
「人を迎え入れて寄り添う姿勢や惜しみない無私の奉仕を実践するすべを学び、皆さんの叙階の前から、聖霊に皆さんの人間性に『油を注いで』いただきましょう」と教皇は6月24日、神学生たちと共にした黙想の中で呼びかけた。
教皇レオ14世は聖年の「神学生の祝祭」の一環で、バチカンの聖ペトロ大聖堂に集まった数千人の神学生と司祭養成担当者たちとの黙想を主宰した。
「自分の心を知るすべを学ぶ」
教皇は黙想の内容の大部分を自分の心をケアすることの大切さに割いていた。内面性の働きや心に秘める思いや感情に目を向けること。そうした営みを通してこそ、「神はご自分の声を聞かせてくださり、その中で、最も深遠な決断のほとんど全てを下すことができるのです」。
「キリストが人の心で愛してくださったように、皆さんもキリストの心で愛することを求められています」と教皇は神学生たちに語りかける。
いつも回心を求めることによって、自分の人間性自体が「福音の香り」を醸すことになる。
自分の心の奥底に下りていくと、そこには神のしるしが残されているが、時には恐れに見舞われることもあると教皇は続ける。「そこには深い傷もあるからです」
「(そうした傷の)手当てをすることを恐れないでください。助けを求めてください。というのも、まさにその傷からこそ、苦しむ人のそばに寄り添う力が生まれるからです」と教皇は説明する。
「自分の心を知るすべを学ぶなら、皆さんはますます真に自分らしくなり、仮面を着ける必要などなくなります」
聖霊に祈り、キリストの愛を証しする
教皇は続ける。「私たちを自分の内面に導いてくれる最高の道は祈りです。ただ、私たちが絶えず互いにつながってしまう時代にあっては、沈黙と静寂を体験することはますます難しくなっています」
「主と出会うことなしには、私たちは自分自身を真に知ることさえもできなくなってしまうのです」と教皇は説明する。
教皇レオ14世は神学生たちに促す。「頻繁に聖霊に祈ってください。皆さんのうちに従順な心を育んでいただき、自然や芸術、詩や文学、音楽や人々の声を聞いているときにも、神の現存を感じとることができるようになるためです」
神学の勉強を深めていく不断の努力の中でも、「開かれた思いと心で文化の声に耳を傾けるすべを学んでください。その中には、最近の人工知能(AI)やソーシャルメディアがもたらす挑戦も含まれています」と教皇はさらに促す。
「そして何よりも、イエスがなさったように、弱い立場に置かれて、貧しく、抑圧されている人々、そして多くの人々、特に人生の意味を探し求めている若者たちの静かな叫びにも耳を傾けるすべを学んでください」
「イエスと同じように、柔和で謙遜な心(マタイ11・29参照)を持ってください」と教皇は呼びかける。「使徒パウロの模範(フィリピ2・5〜8参照)に倣い、皆さんがキリストの思いを身に帯びて、特に愛情と関係性を重んじる成熟した人間らしさのうちに成長できますように」
「恩知らずで権力への渇望が支配する世にあっては、排除の論理がはびこることもあります。その中でも皆さんは、キリストが示す感謝と無償の愛、歓喜と楽しむこと、優しさとみ心のいつくしみを証しするよう招かれています」と教皇レオ14世は付け加えた。
