教皇、聖年の特別謁見を再開 壁ではなく、共に橋を築く時

【バチカン6月14日CNS】分裂とイデオロギー闘争にまみれた世界にあって、教皇レオ14世は全カトリック信者に向けて、隔ての壁を退けて「一つに結び付ける門」であるイエスに従うよう促し、巡礼者たちには真のキリスト教的希望は分けることよりも結び付けることにあると説いた。
 教皇は6月14日、バチカンの聖ペトロ大聖堂で開いた2025年の聖年の特別謁見に参加した数千人に向けて、聖年を希望という対神徳に根差して交わりの使命として生きなければならないと語った。
 「希望するとは、結び付けることです」と教皇は指摘し、聖年はキリストの受肉によって実現した神と人類の結び付きへの「開かれた扉です」と説明する。
 教皇フランシスコが今年1月に始めていた聖年の特別謁見は、霊性に優れた人物の模範を通して希望の側面を示す内容。これを引き継いで今回、教皇レオ14世はリヨンの聖イレネオ司教殉教者について話し、聖イレネオは「一致の師」であり、東西を結び付ける架け橋だったと強調した。
 130年に小アジアで生まれ、現フランスのリヨンの司教を務めた聖イレネオは、「使徒たちを直接知っていた人々の中で教育を受けました」と教皇は説明する。イレネオの生涯と奉仕は文化と人々と教会が互いに豊かにし合うことができる方法を示していると教皇は指摘し、その力は今日の移住者の共同体にもみられるとして、しばしば受け入れ国の信仰の活性化に寄与していると付け加えた。
 初期のキリスト教共同体にあった分裂のただ中でも、聖イレネオは失望することなく、「よりよく考えることを学び、イエスにますます深く注意を向けさせました」。教理的な分裂や政治的圧力、外的な迫害によって分裂した世界のただ中で、イレネオは違いを抑え付けることによるのでなく、キリストご自身が対立する者をどのように和解させていたかを認識することで一致を見いだしていた。

 扉を開き、世界を結んで希望を生み出す
 
 「イエスは、私たちを隔てる壁ではなく、私たちを結び付ける門です」と教皇は続ける。「イエスは、対立する者を集め、交わりを可能にしてくださいます」
 教皇レオ14世はイデオロギーと言葉の暴力がもたらす危険について警鐘を鳴らす。今日では「観念が理性を失い、言葉が人を殺すことがあります。しかし、私たちは皆、肉体でできています。肉体こそが、私たちを地と他の被造物と結び付けます」
 ここでもキリストが中心になる。「私たちはイエスの肉体を、全ての兄弟姉妹のうちに、全ての被造物のうちに、受け入れ、観想しなければなりません。肉の叫びに耳を傾け、他者の苦しみを通して私たちの名が呼ばれているのを感じなければなりません」
 教皇は強調する。希望は遠大な理想ではなく、日ごとの決意であり、「交わりへ向かう」ことを促す。門番ではなく橋を架ける者になることが求められる。「区別することは役に立ちますが、それは分裂させることではありません」
 教皇レオ14世は「主の祈り」から「天に行われるとおり地にも行われますように」という祈願を引き、カトリック信者こそが聖年に促され、結び付きを促進する者にならなければならないと説く。「扉を開き、世界を結び合わせましょう。そうすれば、希望が生まれます」と教皇は講話を結んだ。

教皇レオ14世は6月14日、バチカンの聖ペトロ大聖堂で開いた聖年の特別謁見で、巡礼者たちに希望を生み出す一致の扉について説いた(CNS photo/Lola Gomez)


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