【ケンブリッジ(米東部マサチューセッツ州)5月27日OSV】米東部のハーバード大学がトランプ政権による留学生受け入れ禁止に提訴で差し止めを申し立てている中、同大学のカトリック教会チャプレンは学生たちに向けたメッセージを語る。
「イエスは言われます。『心を騒がせるな』。主はいつも留学生たちと共におられます。教会はいつも留学生たちと共にあります」とハーバード・カトリックセンターでシニアチャプレンを務めるウィリアム・ケリー神父は強調する。「そして何が起ころうとも、この二つのことが、最後には一番大切になるのです」
ケリー神父によると、トランプ政権によって留学生受け入れ資格が取り消されれば、教会のチャプレン活動にも影響が及び、カトリックセンターが果たしている結果的な米国外への宣教の使命も頓挫することになる。
ケリー神父は5月24日、ボストンの連邦地裁が政権による留学生受け入れ認定の取消措置を一時差し止めた翌日に語った。
「世界のためにできること」も
連邦補助金の凍結を含む政権によるハーバード大への圧力で、全学生の27・2%に当たる6800人近い留学生が不透明な未来に直面している。
「留学生たちが感じているのは基本的な不安です」とケリー神父は説明する。同神父は1893年からチャプレン活動を続けてきたハーバード・カトリックセンターが所属する聖パウロ小教区の主任司祭を務める。
現在、ハーバード・カトリックセンターで主日のミサに参加しているのは「学生と教職員、研究員」を含めた500人から600人で、毎週のイベントにも平均で100人から150人が参加するとケリー神父は言う。
同神父によると、大学の国際共同体は裁判所の判断を「明らかに喜んでいる」という。ただ、留学生たちにとって「少しは安心できる材料」だが、「不安が消え去るわけではない」。
ケリー神父は指摘する。トランプ政権による今回の措置は多くの学生たちが学期末で既にキャンパスを去った後に打ち出された。
今となっては、数千人の留学生たちは新年度に戻ってこられるかどうか分からず、まだキャンパスにいる留学生たちは人生を変えるかもしれない決断を迫られている。
ケリー神父によると、カトリックセンターに来る留学生たちは、「カトリック教会で得られる限りの豊かで深い体験」を享受して、その体験を自国に帰って周囲に分かち合うことができているという。
トランプ政権の措置は「私たちが世界のためにできることに影響を及ぼします。留学生たちがここに来られなくなってしまえば、聖パウロ小教区での得難い体験を失ってしまうからです」とケリー神父は嘆く。「たくさんの留学生たちが、聖パウロ小教区とハーバード・カトリックセンターでの体験で人生が根底から変わったと話してくれているのです」
