回勅『人間の偉大さ ―― AIの時代における人格の擁護』 要約 第2回(第2章) 第 2 章 教会の社会教説の基礎と原理

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回勅『人間の偉大さ ―― AIの時代における人格の擁護』 要約 第2回(第2章)

 5月25日に発表された教皇レオ14世の初の回勅「マニフィカ・ウマニタス」(人間の偉大さ―AIの時代における人格の擁護)各章の要約を、5回にわたって紹介します。要約の原文と図版は、バチカンの総合的人間開発省が公開したものをカトリックジャパンニュースが訳したものです。回勅の公式訳は9月30日、カトリック中央協議会から書籍として発売されます。

第 2 章 教会の社会教説の基礎と原理

 回勅の第2章は、教会の社会教説の基礎と原理を振り返ることから始まります。それらは、人工知能(AI)時代にあって、物事を見極めるための重要な基準と見なされるものです。

 基 礎

 この振り返りで肝心なのは、人間は、人格的な関係によって成り立っているという見方です。人間は、三位一体の神の似姿として創られ、交わりを結ぶために呼ばれているということです。それは神との交わりでもあり、他者との互いの交わりでもあります。このことのうちに人間の尊厳の源があります。人間のどのような役割や生産性や社会的評価にも勝る、尊厳の源なのです。
 回勅は、人間の尊厳のさまざまな意味合いを区別していますが、その中でも、環境や個人の能力によって左右されることのない、より深い、より重要な次元を強調します。それは人間が生まれながら持っている尊厳、人間として存在するだけで、誰にでも備わっている尊厳のことです。これは、人間が神によって望まれて創られ、愛されているという事実を意味しています。
 この尊厳が「人権という至上の価値」の基盤です。人権とは、一定の権力の支配下にある特権のようなものではなく、人間の本性そのものを表現するものであり、とりわけ、生きる権利、いのちそのものの権利は、他のあらゆる権利の源です。

 原 理

 社会教説の原則は、このような人間理解の基礎の上に形づくられます。
 全ての人にとって善いもの、つまり共通善は、一人一人にとっての善や利益となるものを足し合わせたものと理解されてはなりません。そうではなく、人間の互いの関わり合いの現実そのものです。すなわち、人々のつながりを可能にして、社会を織りなす人々が、より充実したかたちで成長し、成熟していくための社会的な条件の総体こそが共通善なのです。
 人間が作り出し、所有し、使用する財物には普遍的な目的があるという原則は、今日、把握しきれないほどに発展しつつあるデジタルネットワークの中にある一切のものにも当てはまります。
 しかしながら、全ての人にとって共通の財産であるべきデジタル資産が、少数の人々の手の中に集中し続けるならば、新たな不均衡と格差が広がります。
 このような事態を防ぐために、個人や家庭、社会各層の活動グループが、デジタルネットワークにおいて果たすべき責任を自覚して、互いに支え合う補完性の原則が重要です。
 そして、どの個々人もグループも、それぞれ互いに依存し合っていることを自覚して、つながり合う連帯性の原則が重要です。このことは「誰も自分一人では救われない」という格言に要約されます。
 これら全ての原理が集約されて初めて、全ての人が全ての面で人間らしく開花し成長することができます。このことを目指して、経済や社会の在り方が改善され、宗教生活・霊性のための配慮が尽くされ、ともに生きるための環境の保護などが促進されなくてはならないのです。
(つづく)


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