具志堅隆松さん 沖縄軍事化への危険感を訴える 今回の知事選は「沖縄に自決権があるかどうかを問う選挙」
9月13日投開票の沖縄県知事選を前に、沖縄戦の遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんらが9月1日、東京都千代田区の日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行った。会見では、沖縄で進む軍事化への危機感を訴えるとともに、今回の知事選で問われているのは、沖縄の「自決権(自己決定権)」だと訴えた。

会見に臨んだのは、具志堅さんと、PFAS(ピーファス)汚染の問題に取り組む市民団体「宜野湾ちゅら水(みず)会」(沖縄・宜野湾市)代表の町田直美さん。
具志堅さんは自身が42年間、沖縄戦で亡くなった人の遺骨を探し続けてきた沖縄で、いま再び戦争を前提とした動きが進んでいることに強い危機感を持っていると、次のように話した。
今年、嘉手納(かでな)基地の米軍要員が対イラン軍事作戦のために中東へ派遣された。「遠く離れた中東の戦争と沖縄の基地は決して無関係ではありません」
名護市辺野古(へのこ)では米軍新基地建設が続き、先島(さきしま)諸島では台湾有事を念頭に、自衛隊のミサイル配備や日米共同訓練が進む。今年5月には石垣、宮古、与那国で地対艦ミサイルや装甲車の展開、無人偵察機の飛行を含む訓練が行われた。6月には別の日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン26」が実施されている。
さらに政府は有事の際に先島の島民と観光客を含む計12万人を九州各県と山口県へ約6日間で避難させる計画だが、受け入れ先の一つ熊本県は7月末の大地震で被災し、未だ復興の途上にある。そうした中で戦争になれば、避難者の受け入れはさらに難しくなる。「九州や山口県が有事の際、安全だという保障もありません」
住民からは、「本当に6日間で全員が避難できるのか」と、疑問の声も上がっていると、具志堅さんはこう続けた。
「戦争が始まってから、12万人を逃がす方法を考えるのではなく、戦争を起こさないこと、沖縄の島々を戦場にしないこと」が行政の責任だと指摘。81年前の沖縄戦で24万人余り人命が失われ、その半数が県民だった。「そのために県民は戦争をさせないと声を上げている」のだと説明した。
具志堅さんはまた、2016年12月に国連総会で採択された「平和への権利宣言」に言及した。同宣言は、全ての人が戦争や暴力に脅かされず、人権が尊重される平和な社会で生きる権利を持つとするものだ。
だが19年の沖縄県民投票で7割が辺野古での基地建設に反対したにもかかわらず、政府は投票結果を無視し、沖縄の軍事化を押し進めている。
そうした中で玉城(たまき)デニー現県知事は2023年、国連人権理事会に出席。知事は国際社会に向け、米軍基地が集中する沖縄の過重な基地負担や、南西諸島で進む軍備増強は、平和を求める県民の思いとは相いれないものだと訴えた。
具志堅さんはその上で、今回の知事選で問われるのは「沖縄を米軍の代理戦争の舞台とするのか、あるいは近隣諸国と平和外交を進めていくかの選択」だと強調した。
「貧しい者の命がつながるように」

動画から。米軍普天間飛行場
(沖縄宜野湾市)に隣接する
小学校の運動場の上を米軍機
(中央)が低空飛行している
続いて町田さんは動画を再生し、米軍普天間飛行場(沖縄・宜野湾市)に隣接する小学校の運動場の上を米軍機がごう音とともに低空飛行していく様子を紹介した。
町田さんは、この知事選で最も重要なのは住宅地に隣接し、「世界一危険な」普天間飛行場の返還が実現するかどうかだと話した。米軍基地は騒音、環境汚染、性暴力被害の要因であり、住民にとって基地問題は「生活と人権の問題」だと強調した。
その上で、「今回の選挙で問われているのは、一人の知事を選ぶだけでなく、自分たちの土地の未来を自分たちで決める自決権が沖縄にあるかどうか」だと訴えた。
沖縄と同様、ハワイやグアムでも国家の軍事政策が優先され、人々の生活が犠牲にされている現状があり、そこには「植民地主義の構造がある」と問題視した。
町田さんは会見の最後に、24万人が犠牲となった沖縄戦の教訓は「軍隊は住民を守らない」ことだと語り、こう続けた。
現在、沖縄の経済状況は厳しく、経済を活性化させる政策に目が行きがちだが、沖縄の有権者は「経済の基盤は平和であることを一番に考えてほしい。貧しい者の命がつながるように、沖縄はより弱い立場にある者が生きやすい社会を目指していきたい」。
記者会見の動画はこちらで視聴できる。

