バチカン、環境問題に新たな定義 「被造物と創造主に対する罪」
【ローマ9月3日OSV】国際神学委員会は9月2日、新たな文書を発表し、「被造物と創造主に対する罪」に関するエコロジカル(生態学的)な回心をするよう求めた。
2万9000語以上の長さのこの文書は「共に暮らす家を大切にする ―― 三位一体の神に対する責任ある兄弟愛的な応答」と題され、同委員会の7月の会合で委員の大多数の支持を得て、教皇レオ14世の承認後、教皇庁(バチカン)教理省長官ビクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿が公表を了承した。
前教皇フランシスコが画期的な回勅『ラウダート・シ』を発表して10年以上たつ今、同委員会は、フランシスコ教皇が使用した「エコロジカルな罪」という言葉からさらに踏み込んで、より正確に「被造物と創造主に対する罪」という表現を使用するよう提唱する。
「教皇レオ14世が強調するように、自然環境に与えた痛手と、創造主の計画を認識できず、拒絶さえしてしまう現状の両方を同時に示す明確な表現を使用することが適切だと考えます。創造主の計画の中では、『共に暮らす家』を管理し、保護することが人間に委ねられているからです」と文書は記す。
「私たちは、共に暮らす家に対するこの罪を、『被造物と創造主に対する罪』として認識することを提唱します。その罪は、創造主である神によって意図された被造物の意味を冒瀆することになるからです」
委員会は「共に暮らす家」を、十分な知恵と長期的視点をもって保護できないことは、「私たちが神の計画を尊重できておらず、被造物を虐待しているだけでなく、隣人たち、特に最も貧しい人と将来の世代に危害を加えていることにもなります」と説明する。
「そのため、被造物に対する罪は、創造主である神と私たち、隣人と私たち、そして被造物自体と私というぞれぞれの関係性に関わるもので、私たちを特徴づけるこれらの三つの関係をゆがめてしまいます」
「被造物の管理と世話」は二つの召命
この文書はイタリア語で発表され、三つの章に分かれており、16世紀以降の自然と文化の関係において「三つの変革」があったとしている。それらは、自然を神の被造物として捉える考え方が失われたこと、人類と被造物の関係に人間中心で搾取的な考え方が徐々に出現したこと、地球レベルで生態学的危機が広がっていることの三つだ。
第1章は、どのようにして全ての被造物が三位一体――父と子と聖霊――のしるしを抱いているのかを考察し、被造物が創造主である神の似姿を有しているため、生態学的な問いは常に宗教的側面を帯びる、と論じている。
第2章は、創造された世界の中での人間の立ち位置に焦点を置く。「創世記」の中の創造の物語を使用して、人類はどのようにして所有、管理、土地の耕作という独自の役割を与えられたのかを考察し、人間の堕罪を描写した「創世記」の物語の中に、土地の搾取、汚染、生物多様性の喪失を組み込んで説明する。
またこの文書は、二つの極端な思想を拒絶する。一つは「搾取する人間中心主義」で、被造物を搾取のための単なる資源としか見ない考え方。もう一方は「過激なまでの生物中心主義」ないし「ディープエコロジー」で、人間から、被造物の中で人間だけが持つ特性を奪い去る考え方だ。それらとは反対に、この神学委員会は、「状況化された人間中心主義」という考えを前面に打ち出している。これは最初に前教皇フランシスコが提唱した表現で、教皇レオ14世が引き継ぎ、人間の召命は「被造物の管理者」また「奉仕者」となることだと説明するものだ。
この二つの召命は、聖体において頂点に達する。なぜなら、聖体は「生態学の学びや」で、そこから「人類家族として今まさに必要とするエコロジカルな回心を支え、促すことができる霊性」があふれ出てくるからだ、と文書は述べる。
宗教の垣根を越えた協力を
第3章は、「エコロジカルな回心」のための、いくつかの実践的な指針と原則を提示する。それらは、神との、自分自身との、被造物との、他者とのさまざまな基本的な関係を中心にしてまとめられている。その中では、意識的な消費、聖ベネディクト会の教えである「祈りかつ働け」(ora et labora)に基づく労働と休憩のバランスの取れたリズム、いのちの尊重、修徳、被造物への崇敬、地球と貧しい人の叫びに耳を傾けることの重要性が強調されている。
さらに、世界の諸宗教が果たす環境保護への貢献も調査する。
「キリスト教信仰の立場から、いのちの繁栄と、全てのいのちの原点であり、礎である超越的存在との交わりのために、全ての被造物の責任ある保護という共通の課題に、宗教の垣根を越えた協力のために門戸を開いています」と文書は記す。
この文書は、2022年から2025年の間に開かれた小委員会でまとめられ、前教皇フランシスコが定めた「すべてのいのちを守るための月間」中に発表された。この月間は9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」から始まり、アッシジの聖フランシスコの記念日である10月4日に幕を閉じる。

