フランス司教団「死への援助」法案を非難 カトリック系施設、拒否で違法の可能性も
【パリ7月16日OSV】フランスの司教団は、「死への援助」法案の合法化に向け、議員たちが下した「過激な選択」を厳しく非難している。
国民議会(下院)は7月15日に重大な転機となる採決をし、特定の条件下で安楽死と自殺ほう助を含む「死への援助」を合法とした。
フランスの司教協議会会長で、マルセイユ教区のジャン・マルク・アプリータ枢機卿は、「議員たちはフランスの法律に、死をもたらす可能性を記した」と嘆く。
枢機卿は「この選択によって、苦しみを和らげ、自然死に至るまで人に寄り添うことを目的としたケアの長い伝統が捨て去られることになる」と司教団を代表して語った。
トゥール教区のビンセント・ジョーディ大司教と司教協議会の会長代理を務めるポントワーズ教区のブノワ・バルトロン司教によって署名された司教団の声明は、カトリックの医療施設に、「全ての人間の尊厳を尊重し、倫理に反する明らかな行動を控えるよう」呼びかけた。
フランスの司教団にとって、「2026年の7月15日は、私たちの国の歴史上の深刻な転換点となります」と声明は述べる。
2025年5月以来、フランスの議員が「死への援助」を合法化する法案を支持するのは今回で4回目。元老院(上院)はこの法案を3回、圧倒的多数で否決してきた。法案を支持する議員の割合は当初の投票以来、大幅に低下したが、法案の可決を阻止するまでには至らなかった。
7月15日、国民議会の291人が賛成票を投じ、241人が反対し29人が欠席した。
この法案で「死への援助」は承認され、特定の条件下では、医師または看護師が自ら致死物質を投与することが認められることになり、同国で安楽死が合法となる。同法は現在、憲法評議会での再審査を待っている段階で、その後、施行される流れとなる。
司教団にとって、この法案で最も危惧していることの一つは、苦しみに対する医療的措置の中に死が含まれ得るという原則が、フランスの国法の一部となってしまったという事実にある。死を選択することが権利とされれば、それが他者にも適用されかねないと懸念している。
「他国の事例は、『死への援助』の基準は常に拡大される傾向にあり、その結果緩和ケアの選択肢がないものとされています」
また、「そのような法案の効果はまだ十分に検証されていない」一方で、「すでにその影響が表れつつあります」と司教団は警告する。「私たちの弱さや高齢化、障害や病気への対し方が変わってしまうかもしれません」
「最も貧しい人々がまず犠牲になるでしょう。自分の子どもや孫の重荷になりたくないと、不安定な立場に置かれる高齢者ほど、死へのプレッシャーを感じるかもしれません」と司教団は警鐘を鳴らす。
寄り添いと思いやりあるケアの道を
現在司教団にとって最も差し迫った具体的な懸念は、この法案が施行されれば、ケア施設――中でもカトリック系の機関――が、その施設内で安楽死や自殺ほう助を拒んだ場合、法的に罰せられるかもしれないことだ。今後は、施設などの責任者は、外部の医師などが安楽死を行うことを認めなければならなくなる。
そのため司教団は、投票前に発表されていた「憲法評議会への付託を注意深く見守ります」と語った。
フランスで最大の祝日である革命記念日を迎えた7月14日、セバスチャン・ルコルニュ首相は、憲法評議会にこの法案の文言の再審査を求めると表明し、世論を驚かせた。首相自身は個人的にこの法案に反対している。上下両院の合意がないことを指摘し、この最終手段となる審査を正当化した。
憲法評議会は、マクロン大統領がこの法案を布告する前に、法案全てを承認するか、特定の条項を却下するか、あるいは解釈上の留保を行う。首相が要求した付託では、特に「良心条項」が含まれていないことを焦点とする。良心条項とは、例えば「貧しい人の小さな姉妹会」が運営するカトリックの介護施設などの医療機関が、その敷地内で「死への援助」といった処置を行わないことを法的に認めるもの。
憲法評議会での再審査結果を待つ間、司教団はフランスのカトリック信者たちに「誰をも見捨てることなく、身体的・精神的苦痛を和らげる誠実な寄り添いと思いやりのあるケアを選択するという別の道があるのだと証しするよう」何度も呼びかけた。

