青年たちの声を聞き、踏み出す平和 大分教区平和行事
青年たちの声を聞いて、平和実現への一歩を踏み出すための集いが8月9日に大分カテドラル大分教会(大分市)、11日には宮崎教会(宮崎市)で開かれた。同教区と韓国・大田教区の青年交流の歩みについての発表と、そこで得た気付きの分かち合いが行われ、大分では約50人、宮崎では約60人の信徒らが発表に耳を傾けた。11日の集いには、7日から4日間、韓国・釜山で大田教区の中高生と交流し、前日に帰国したばかりの宮崎教会の中高生も発表に加わり、同教区の森山信三司教主司式による平和祈願ミサもささげられた。(大分教区正義と平和協議会主催)

青年たちの発表の場に
宮崎教会で行われた平和の集いで開会のあいさつをした森山司教は、大分教区の平和の集いは、昨年までは戦争体験者などに話を聞くスタイルで続けられてきたが、今年は「子どもたちの声を聞く」ことを目的に準備をしてきたと述べた。
森山司教の意向を受け、集いを計画してきた川口敏神父(日向教会)は今年4月、延岡教会で開かれた青年会の集まりで、青年たちから「今年の平和の集いは、青年の発表の場にしていただけないでしょうか」という申し出を受けたことで、今回の集いが実現したことを説明した。

説明する井下恵人(いのした・けいと)さん。今年のWYD大田教区大会予備教区大会にも参加した
平和の集い両日で、日韓の青年交流の歩みを発表したのは、同教区青年会会長で大学4年生の井下恵人さん(大分教会)。
大分教区では2019年まで、長崎の原爆の日に合わせ、中高生が1泊2日の長崎平和巡礼を行っていた。コロナ禍により長崎巡礼は中止になるが、同教区で奉仕していた韓国人司祭の発案で24年夏、初めて韓国での日韓中高生交流会が実現。日本の中高生8人が大田教区を訪問したのだという。以来、夏は韓国、冬は日本での交流会が続いている。共にミサにあずかり、殉教者を記念する聖地巡礼やテゼの祈り、レクリエーションなどを通じて友情を深めている。
同教区では2007年、大田教区から二人の神学生が派遣され、大分教区で叙階されたことをきっかけに日韓交流が生まれた。現在も3人の韓国人司祭が奉仕しており、両教区は姉妹教区となっている。
井下さんは、これまでの交流会に参加した中高生の感想を紹介。
韓国の参加者の「旅行の真の価値はただ単に旅行地の楽しい時間だけにあるのではなく、その場で出会った人たちとの関係や、温かい心、そして、お互いに違う文化や価値観を尊重し合って、理解しようとする努力の中でもっと深めていくのだと思います」という言葉に、心を打たれたと話した。
そして長崎平和巡礼がルーツのこの交流会が、愛や平和を学ぶ機会として営まれ、若者が「イエス様の平和に近づき、福音を証しする者として、信仰のうちに一歩進む」ことへの期待を述べた。
来年のWYDを視野に入れた交流も

今年の日韓中高生交流会に参加し、前日に釜山から帰国したばかりの宮崎教会の中高生3人が体験を分かち合った。言葉は通じなくても、ジェスチャーを交えて助け合ったこと、聖カルロ・アクーティスや、医師として、司祭として南スーダンの人々に尽くしながら病に冒され、2020年に48歳で帰天したイ・テソク神父の証しに触れたことなどを紹介した。「相手を知り、違いを認めることで平和を実現したい」「人のために行動できる人になりたい」「目の前にいる人を大切にしたい」などの思いが語られた。
そして青年会メンバーが、来年韓国で開かれるワールドユースデー(WYD)ソウル大会の参加準備について説明した。大分教区の青年たちは、ソウルでの本大会前の来年7月29日から8月2日まで、大田教区大会への参加を予定している。
今年7月31日から8月2日まで、大分教区の18歳から30歳までの青年12人がWYD大田教区大会予備教区大会(Pre-DID〈Pre-Days In The Diocese〉)として、森山司教、山頭牧夫神父と大田教区出身の崔在景神父と共に大田教区を訪問。信徒の家庭にホームステイし、韓国の青年たちと共にミサにあずかり、337人が処刑された殉教地、ファンセバウィ殉教聖地や大田教区庁などを訪れた。教区長のキム・ジョンス司教とも対面することができた。
予備教区大会に参加した大学2年生の大口暖翔さん(大分教会)は、日本と韓国の殉教者の違いについて「日本では信仰を『捨てる』かどうかを問われたのに対し、韓国では『信じ続ける』のかどうかを問われたことが分かった」と話した。青年たちは、韓国の青年たちとの再会を楽しみに「1年かけて準備をしたい」と思いを述べた。
平和の証し人になるように
平和祈願ミサでは森山司教が、韓国にも日本にも多くの殉教者がいるが、殉教者は「証しをする人」という意味を持っていると話した。AIなどの新しいテクノロジーの出現によって、人間は信仰から離されてしまうことがあるが「証しをする人が現代の殉教者」なのであり、青年たちにはイエスの教えに従って生きる「証し人になってほしい」と呼びかけた。
また今年7月にも韓国を訪問した森山司教は、広島・長崎で被爆した韓国人の被爆者、その2世、3世たちが今もなお、いわれのない差別・偏見に苦しみ続けていることに驚いたと打ち明けた。今なお止むことのない戦争、核兵器の威力の増大があるが、その中でも平和のために何ができるのか。「自分一人の力は小さなものです。みんなで力を合わせて、心を一つにして平和実現に尽くす時、それは大きな力になります」
森山司教は、武力ではなく、イエスの示した非暴力によって真の平和を築いていきたいと話した。
信仰に国境はない
集いに参加したケタ修道女(53/マリア布教修道女会)は、2024年に大分教区の中高生を引率して韓国に行った際、「別の国、別の文化、だけど同じ信仰」だと感じたと振り返った。来年のWYDでは、青年たちが「神様の声を聞いて、応えることができるように」祈っていると話した。
西垣昌代さん(81/延岡教会)は「子どもたちは、韓国に行ってよく頑張ってきたと思いました」。WYDでは100万人も集まると聞いて、青年たちが無事に過ごせるかを案じていると話した。
大田教区での予備教区区大会について話した大口さんは、訪問先の教会には、子どもから高齢者まで、人数が分からないほど多くの殉教者がいたことを知ったと話す。長崎・浦上教会出身で、自身の先祖にも殉教者がいるという大口さんは、「信仰の強さを学びました」。
二日間にわたって発表をした井下さんは、ファンセバウィ殉教聖地で十字架のモニュメントを目にした。十字架の裏には殉教者たちの姿が刻まれ、十字架の先には復活したイエス像が立っていたのだという。殉教の先に「復活という希望」が表されていたことが印象深かったと話した。
