長崎教区で平和祈願祭 「あなたの平和の道具にしてください」
原爆投下から81年となった今年も、長崎教区は8月9日に「平和祈願祭」を行った。今年は教皇レオ14世によって「聖フランシスコ年」に定められた年に当たり、祈願祭のテーマは、「主よ、わたしをあなたの平和の道具としてください」が選ばれた。長崎カテドラル浦上教会で、同教区の中村倫明大司教が主司式する「平和祈願ミサ」を夕刻からささげ、その後のたいまつ行列で、市内の爆心地公園まで、ともしびを掲げつつ祈りながら歩いた。
平和祈願祭には約800人が参加。駐日教皇庁大使フランシスコ・エスカランテ・モリーナ大司教、髙見三明名誉大司教、大阪高松教区から前田万葉枢機卿と酒井俊弘補佐司教が参加した。その中には、韓国・大邱教区の「韓国如己の会」関係者22人、イスラエス、パレスチナ、日本の若者がつくる「平和の架け橋」プロジェクトの青年たちと関係者15人の姿もあった。
平和の尊さ 次世代と共に伝える
被爆者の高齢化が進む中、長崎教区では、次世代を担う青年や子どもたちと協力して平和行事を行っている。
今年の平和祈願ミサでも、浦上教会の高校生3人が司会を務めた。3人はミサが始まる前のアナウンスで、聖フランシスコ年の目的は、「清貧の心」をもって互いに分かち合い、人間同士だけでなく自然界の全ての生き物を大切にし、平和を求める尊さに気付いていくことだと話した。アッシジの聖フランシスコの信仰の歩みついても語り、聖フランシスコは力によってではなく、キリストに倣う生き方によって、「下から教会を変えていきました」と述べた。さらに「人の命を奪う戦いの火ではなく、人を幸せにする愛の火を心にともし、・・・前進する者となれるように祈りましょう」と呼びかけた。
「嵐の中で『神の声』に耳を傾ける」
ミサに先立って、教皇庁大使があいさつに立ち、「嵐の中で『神の声』に耳を傾ける」と題するメッセージを伝えた。
大使は、「こんにち、人類は激しい嵐の中を進んでいます」と話し、「戦争という悪魔は、爆弾が炸裂するずっと前から始まっています」と指摘。戦争は兵器庫から始まるのではなく、「兄弟姉妹であることを認めなくなってしまった心の中から始まるのです」と述べた。
そして長崎の記憶が、神の声に耳を傾けるよう招いていると語り、こう祈った。「主よ、私たちに、信仰の灯を絶やすことなく燃やし続け、沈みゆく兄弟姉妹に手を差し伸べ、真の平和の匠となれるよう、恵みをお与えください。そうして、人類が二度と広島や長崎で経験したような惨劇を目の当たりにすることがありませんように」。
主よ、あなたの平和の道具に
中村大司教はミサ説教の中で、今年の平和祈願祭のテーマを取り上げ、平和の道具になるとはどのようなことか話した。
大司教は、イエスが「剣を持つものは剣で滅びる」と説いたことや、歴代教皇も、武器は平和をもたらさないと語っている言葉を紹介。自分たちも被爆者と一緒に「核兵器は人類と共存できない」と叫んでいかなければならないと訴えた。
大司教はまた、主が復活した時、弟子たちが当初、家の扉にも心の扉にも鍵をかけていたが、その扉を主イエスが力づくで壊すことなく近づいて来て「あなたがたに平和があるように」と告げたことについて話した。「イエスさまと同じ平和の鍵を持ちたい」と述べ、そのための大きなヒントを聖フランシスコの平和の祈りが教えてくれると語った。それは「憎しみを愛に変え、争いを和解に。分裂を一致に、絶望を希望に、悲しみを喜びに、そして暗闇を光に変えていくことです」
さらにミサ後に行われるたいまつ行列の火は、平和の光として人々に示していくものだと話し、励ましやほほ笑み、自分の大切な時間、才能を、人々の幸せと平和のために分かち合い、福音を伝えていこうと呼びかけた。
ミサの後、参加者たちは、復活ろうそくから火を受け継いでたいまつなどをともし、爆心地公園までの道を、ロザリオの祈りを唱えながら歩いた。


での道を、ロザリオの祈りを唱えながら歩く信者たち
