「2027年ワールドユースデー(WYD/世界青年の日)ソウル大会」に向け、「十字架」と「聖マリアのイコン」が韓国から日本に到着した。3メートル80センチもあるこの大十字架は1984年、あがないの特別聖年に、教皇ヨハネ・パウロ2世がバチカン・聖ペトロ大聖堂の祭壇脇に設置し、聖年の扉が閉じられた後「主イエスの人類への愛のしるし」として青年らに託したもの。以来この十字架は、巡礼のシンボルとして諸国を旅している。
日本に到着した十字架とイコンは長崎、大阪高松、東京の3教会管区を巡回する。その第1歩が4月29日、福岡教区の旧カトリック神学院で踏み出された。快晴に恵まれた会場には、長崎教会管区の司教・司祭、また韓国からの巡礼団を含む350人ほどが集い、十字架とイコンの到着に歓喜した。
十字架を抱き締める
十字架は、司祭団と、長崎・福岡・大分・鹿児島の4教区からの参加者、そしてその他の参加した信者たちの順に聖歌を歌いながら交代で担がれ、神学院のグラウンドを1周した。そして、ゴールである神学院の聖マリア像の前に安置され、参加者は祈りの時を持った。

長崎教区の中村倫明(みちあき)大司教は、ミサの初めに、この集いの計画と運営を引き受けた福岡教区のヨゼフ・アベイヤ司教や青年たちに感謝の言葉を述べた。続けて、中村大司教はローマの売店で購入したという、一つの十字架を8人の人々が担っている置物を会場内に回し、「十字架を皆で担うことで神の愛を示す力が大きくなる」と話した。この置物が、見方によっては8人が十字架にしがみついているようにも見えることから、「十字架は背負うだけでなく、しがみつき抱き締めることで、私たちの方こそ背負ってもらっている、抱き締めてくださっている神様がいるということを感じることができる」とも説いた。

中村大司教は「これからも神様にしっかりと抱き締めてもらいながら、一緒に手を取り合い、新しい風を起こして、この九州、沖縄の教会は生きている、生かされていることを人々に証しし、特に苦しみ悩んでいる人々に『私たちは愛されているんだよ、生きていいんだよ』と、その希望をこそ伝えていく歩みを行っていきましょう」と結んだ。
奉納では、集まった信者が思い思いのメッセージをつづった大きな寄せ書きがささげられた。中村大司教が「ご自分のところにおいでくださったイエス様に感謝しながら、十字架のそばに立っておられたマリア様のように、どうぞこの十字架のそばまで行かれて、イエス様と十字架のイエス様をハグして(抱きしめて)、ご自分のところに帰っていただきたいと思います」と促し、聖体拝領後は多くの信者が十字架の前に列を作り、十字架を抱き締めた。
閉会のあいさつに立った森山信三司教(大分教区)は、1人でも多くの若者がWYDソウル大会に参加できるよう、霊的物的の両面から支援をしてほしいと呼びかけた。
福岡教区で広報を担当している若狹千賀子さんは、「この日の準備をした青年たちは、何度も話し合いを重ねました。当日の運営から撤収まで、始終青年たちの明るい笑い声とまぶしい笑顔があふれていて、互いに助け合う姿に『希望』が見えました。日本の青年たちが、今度は2027年のソウル大会で、再びこの十字架の前に立って世界中からの青年たちと出会い、この希望をさらに大きく、そして確固たるものにしてくれることを願っています」と話した。
当日の様子は、福岡教区のYouTubeチャンネルで視聴可能。