教皇の新刊、近日中に発表 序文で核軍縮求める
【ローマ7月21日OSV】教皇レオ14世は、核兵器による大惨事を防ぐことに関して、たった一人の良心が「世界全体を救い得る」と、新しく出版される本の序文で述べた。また原子爆弾について、米国の歌手ボブ・ディランの未発表曲の歌詞からも引用した。
教皇のこの発言は、「武器のない、武器を取り除く平和―平和は神からのたまもの」(邦題は仮訳)という今後発表予定の新刊の中の序文に書かれており、この序文は7月21日に発表された。バチカン出版局によると、この本自体の英語版が近日中に発表されるという。
「原子力の時代に、この真理の正しさを押し通さなければなりません。平和を生み出すものは核兵器ではなく、軍縮です」と教皇は記す。
過去数十年の核軍縮の時代には当然だと感じられたこの考え方は、「現代では人々を怖がらせ、震え上がらせる軍拡競争によって覆われてしまいました」。
教皇は米国のシンガー・ソング・ライター、ボブ・ディランが核爆弾について比喩的に取り上げた歌詞を引用し、「おまえなんか大嫌いだ。なぜなら、おまえは人によって作られ、所有され、操作されているからだ」と記した。
また教皇は「平和は証人を探し求めます」と述べ、福者フロリバート・バワナ・チュイ、神のしもべジョルジョ・ラ・ピーラとドリス・デイを、汚職に抵抗し、外交を支持し、貧しい人々を救うことで平和を広めた人の模範として取り上げた。
たった一人の良心が世界を救った
さらに平和は、自分自身の良心に従って行動した「ほとんど知られていない主人公たち」によっても守られてきたと、教皇は記し、冷戦時代のソ連防空軍の中佐だったスタニスラフ・ペトロフ氏についても詳しく記した。
1983年の9月26日、ペトロフ氏が勤務していたモスクワ近くの格納庫に設置されたレーダーシステムが、米国から複数の大陸間弾道ミサイルがソ連に向けて発射されたと示した。後にこの警報は、ソ連側の衛星探知システムの誤作動だと判明したが、その間ペトロフ氏は命令に従わず、警報のことを上官に伝えなかった。この決断は「『伝える』という単純な行為が、何百万もの死者を出すかもしれないと推察できた人の良心」に従って下されたものだ、と教皇は強調する。
「機械が私たち人間よりも高性能で、迅速な処理を行えるとしても、そのような機械が、罪のない人々を爆撃するかどうかを決定するような世界は、非常に恐ろしいものとなるでしょう」と教皇は記し、「たった一人の良心でも、全世界を救うことができるのです」と述べた。
「私は現在、世界が探し求めているものが一つあるとしたら、それは未来への平和のメッセージだと信じています」と教皇は付け加える。
良く生きれば、時代も良くなる
この本は、教皇レオ14世が教皇に選出されてから行ったスピーチや考察をまとめたもの。7月19日に署名された序文の中で、教皇は、世界中で103の国々が何らかの形で紛争に巻き込まれていることを指摘し、ウクライナ、中東、スーダン、ミャンマー、コンゴなどでの戦争を例に挙げた。
平和は「真理のうちに築かれるものです」と教皇は述べ、戦争を始める人々でさえ、平和の名において戦争を起こすと指摘する。というのも自らのために、戦争を行いたいと表立って認める指導者はいないからだ。
1945年に広島と長崎が破壊し尽くされた後、戦争という手段に訴えることは、ますます「後戻りできない危険な冒険」となっていると、1990年12月25日の教皇聖ヨハネ・パウロ2世の降誕祭メッセージの言葉を引いて述べる。
「平和とは責任です」「平和は私から始まるのです」と教皇レオ14世は記す。そして聖アウグスティヌスの説教を引用し、「悪い時代、苦労の多い時代だ」が、「良く生きましょう。そうすれば、時代は良くなるでしょう」(アウグスティヌス「説教」80、8)と述べ、「あなたが時代を変えれば、不平を言うこともなくなるでしょう」と書いている。
世界で継続している戦争や紛争について絶望という誘惑に駆られる人々に、教皇は、教皇ピオ11世が全教会に語った言葉を贈る。「現在の問題の中で私たちを生かしてくださる神に感謝しましょう。良くない生き方をする者になることは、もはやゆるされません」
「神がわたしたちを非暴力の道へ導いてくださいますように。信者と善意の人々が、平和を築く者としての働きを決してやめることがありませんように。全ての人々が平和をそれぞれの人生の理念とすることができますように」と教皇は祈る。

