ヨルダンの正教会で銃乱射事件 教会指導者ら、「凶悪で非人道的」と非難
【アンマン(ヨルダン)10月24日OSV】10月24日正午、ヨルダン全土に教会の鐘の音が響いた。前日の23日にヨルダン南部で、葬儀中に起きたテロ攻撃の犠牲者の追悼のためだ。このテロ攻撃で8人が死亡し、40人が負傷した。
ヨルダンのカラク南部にある小さなキリスト教信者の集落の一つ、ハムードの聖ゲオルギオス正教会で行われた葬儀に参列者が集まる中、伝えられたところによると、3人の銃を持った男たちが押し入り、参列者に向けて5分間近く銃を乱射し続け、現場から逃走したという。参列者の1人は、葬儀のために最大で200人の参列者が教会の内外にいたと証言し、犠牲者の多くは50代から70代くらいの人だったと述べた。
この衝撃的な事件から一夜明け、ヨルダンの全ての宗教団体は動揺を隠せない。近隣国のキリスト教信者にも恐怖が広がっている。
ヨルダンのアブドッラー2世国王は、銃乱射を非難し、犯人に対して「最も厳しい報復」を誓った。国王は現場に急行し、地元の病院に収容された負傷者を見舞い、親族を失った人々を慰めた。
「全てのヨルダンの人々のいのちは尊いものです。私たちの国を大胆にも脅かそうとする者に対しては、断固とした措置を取ります」と国王はX(旧ツイッター)に投稿した。「ヨルダンの国民を、背徳ともいえる銃弾で分断しようと考える者は誰でも、私たちの忠実さと団結を前にして、失敗に終わるでしょう」
ヨルダン政府は、この「前代未聞の事件」を、自分たちの国全体に対する「テロ攻撃」と呼んだ。
「宗教や信念にかかわらず、ヨルダン国民に対する攻撃は全て、ヨルダン社会全体に対する攻撃と見なします」と、政府報道官のモハメド・モマニ氏は語り、犯人は過激なイデオロギーに駆り立てられていたとも言及した。
モマニ氏は、キリスト教信者は、ヨルダンの歴史や国としてのアイデンティティーに深く根差しており、過去にも現在にも未来にも貢献していると強調する。
「諸宗教が平和的に共存する社会」への攻撃
ヨルダンは、ラテン典礼エルサレム総大司教区に属しており、教区や教会の指導者たちから、「無差別に罪のない参列者」に銃を向けた「凶悪で非人道的な」テロ攻撃に対し、「深く悲しみ、大きな動揺を受けている」というメッセージを受け取った。
メッセージは続ける。「無防備な市民に対するこのテロ攻撃は、神に対する、また人類に対する深刻な冒瀆です。死者の埋葬の最中に、神の家である教会で祈りをささげる葬儀の参列者を標的にすることは、全ての神に関わる価値と人間的な価値を傷つけることになります」
「この事件は、ヨルダン・ハシェミット王国のキリスト教共同体全体に対する攻撃であり、ムスリムとキリスト教信者が何世代にもわたり、一致ときょうだい愛のうちに共に暮らしてきたヨルダン社会の模範といえる社会の仕組みに対する攻撃でもあるのです」
さらにメッセージは、遺族と、ヨルダン正教会主教区の東方正教会エルサレム総主教の至福なるテオフィロス3世と総主教区全体に、心からの哀悼の意を表した。
「私たちはアブドッラー2世国王の明確なお言葉と、このような行為を断固として受け入れないというヨルダン国民の方々に勇気付けられています。このような行為によって、ヨルダン国民の一致を損ねることはできませんし、今後もそうです」
駐ヨルダン教皇大使のジョバンニ・ピエトロ・ダル・トソ大司教も、この行為を非難し、翌24日に数カ所の病院に収容されているけがを負った人々とその家族を見舞った。この訪問には、ラテン典礼エルサレム総大司教代理のウィリアム・ショマリ補佐司教が同行した。「この訪問は、教皇の寄り添いと連帯と哀悼の意を伝えるためだった」とヨルダンの国営ペトラ通信は報じた。
教皇レオ14世は25日、「お告げの祈り」の中で「10月23日にヨルダンのハムードにある聖ゲオルギオス正教会の信者に対するテロ攻撃で亡くなった方々、けがを負った全ての方々のために祈ります」と述べ、「諸宗教の平和的共存と尊重によって特徴づけられるこの教会共同体の人々とヨルダン全体に寄り添います」と語った。

