毎週開く 多国籍の教会学校 子どもが中心 みんなの居場所に 三重・上野教会

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毎週開く 多国籍の教会学校 子どもが中心 みんなの居場所に 三重・上野教会

 三重県伊賀市の上野教会(ホセ・ゴンザレス神父/グアダルペ宣教会)では、毎週土曜日、外国にルーツを持つ小中学生のための教会学校が開かれている。信仰養成に加えて、日本語の学習支援も行っている。小中学生だけでなく、その家族、教会学校の卒業生や、高齢の日本人信徒も参加・協力しているユニークな教会学校だ。リーダーらは、教会学校が子どもを中心にした「みんなの教会」になってきた手応えを感じているという。

上野教会が毎週土曜日に開く多国籍の教会学校には小中
学生が集うほか、その家族や卒業生も参加・協力している
 まず皆で夕食を食べる

 上野教会が位置する三重県伊賀市は、外国人住民の比率が人口約7万7000人のうち約7・5%(6328人/2025年12月末時点)を占め、全国でも外国出身者の多い地域だ。
 上野教会で毎週土曜日に行われる教会学校は、土曜午後7時からの主日ミサの前の2時間半ほどを使って開かれている。前半の1時間が夕食、後半1時間半が学びの部。同教会の教育部が担当する取り組みで、ブラジル、ペルー、フィリピン、ベトナム、中国などにルーツを持つ小中学生10余人が参加している。
 午後5時頃になると教会学校の生徒のほか、一緒に来た家族、教会学校を支えるボランティア、ホセ神父も三々五々教会のホールに集まり、30人余りで夕食を囲む。早々に食べ終えて同世代の仲間と遊ぶ子どももいれば、大人と一緒にゆっくり食べる子ども、ホールの外へ卒業生とおしゃべりをしに行く子どももいる。

夕食風景。早々に食べ終えて部屋の隅
に集まり、ゲームをする子どもたちも

 午後6時頃になると、それぞれ複数の部屋に分かれ、初聖体や堅信の準備などを行う信仰養成クラスに参加したり、日本語の学習支援のクラスで勉強をしたりする。
 毎月第1土曜日の夜は多言語による主日ミサがあるため、ミサに合わせて侍者奉仕、聖書朗読や聖歌の練習も教会学校として行っている。
 また“校外学習”も行われ、今年1月は、3月末で閉校となる四日市サレジオ志願院(三重県)を訪問した。
 当日同行したリーダーの一人は、こう話した。
 「(志願院の)生徒さんや神学生、神父さん方も折に触れ、教会学校に来てくださいました。いろいろな方が手伝ってくださる教会学校です」

 小教区の枠も超えて
夕食中、子どもたちに声をかけ
るホセ・ゴンザレス神父(写真左)

 夕食の部に参加・協力しているのは、土曜午後に行われるロザリオの集いに来た人や生徒の家族、卒業生など約20人だ。
 ペルー出身の樋口セザールさん(59/同教会)は、4年前に自身の娘ががんの宣告を受けて以来、回復を願い求める日々だが、その中で、教会で奉仕する力と喜びも与えられていると話す。
 小学校低学年の信仰養成クラスを手伝っているサイトウ・レイナ・トシミさん(同教会)は、「18歳の息子が(以前、教会学校で)お世話になって、今は13歳の子どもが通っていて、つながり続けています」と話す。
 隣の名張市から毎週、学習支援を手伝いに来ている田波康夫さん(70/三重・名張教会)は、元塾講師。所属教会では定住している外国人は見当たらず、日本人の子どもは塾に通っているため、7年前から土曜日に、学習支援の必要な子どものいる上野教会を手伝うようになった。
 そこで感じてきたのは、外国にルーツを持つ子どもの学習支援で「生活言語と学習言語の違い」に留意することの重要性だ。例えば日本語での日常会話は問題なくできる子どもであっても、漢字の習得が遅れているために、テストの設問を理解できないことがある。
 「高校では学校からの学習支援が減るので、小中学校で日本語をきちんと学んでおくことが大切」だと田波さんは言う。

中学2年生(写真左)の学習支援の様子
 神様の子どもとして「自信」を持つ

 教会学校のリーダーの一人であるロサさん、ことオチャンテ・村井・ロサ・メルセデスさん(44/同教会/桃山学院大学准教授)は、ペルーで生まれ、中学3年生の時に家族と来日した。

オチャンテ・村井・
ロサ・メルセデスさん

 大学院を卒業後、三重県教育委員会の委員として小中学校を巡回し、外国ルーツの子どもや保護者をサポートした。
現在は、大学で日本語教員養成プログラムリーダーを務めるとともに、外国人児童生徒の教育と多文化共生を専門とし、研究と実践に取り組んでいる。
 上野教会で、こうした多様な子どもたちを対象とした教会学校の取り組みが始まったのは1990年代後半だ。増え続けていたブラジル人やペルー人の子どもたちのために、ロサさんの両親や日系ブラジル人、日本人信徒らが初聖体クラスの準備を開始。当初は補助的に関わっていたロサさんもクラスを担当するようになり、今年で23年になる。
 ロサさんによれば、教会学校に来る子どもたちは、さまざまな困難を抱えているという。例えば、日本で生まれ育っていても、外見から、“外国人”として嫌がらせを受けることがある。日本人と異なる点、全てを自身の“弱み”として感じ取り、自信を失ってしまう子どもは多い。 
 「でも、ここには子どもからおばあちゃん(高齢者)まで(多世代)の、多様なルーツの人たちがいます」と、ロサさんはこう続けた。
 大人は子どもに「よくやって(手伝って)くれたね」「歌、上手だったね」などと声をかける。皆の前で聖書を朗読するのを恥ずかしがる子どもには、「(あなたに)声をくださった神様のために読もう!」と声をかける。「皆からの応援は、日本社会の中で自信を失った子どもたちにとっての“強み”です。他者との関わりの中で神様の子どもとしての自信を取り戻し、育ってほしいと思います」

教会学校のクラスの後、日本人信徒(写
真右)から当日ミサで歌う聖歌について
助言を受ける中学生(写真左)と卒業生
 「神様を知ってほしい」

 教会学校には、地元の公立校で不登校になりつつある子どもや、スマホに依存し、昼夜逆転の生活になっている子どももいる。ロサさんらリーダーは、教会で姿を見なくなった子どもや保護者を心に留め、折に触れ声をかけながら共に歩んでいるという。
 また、近所付き合いでつまずいて自信を失った家族も「ここに来れば」、家族だけで内向きになったり、問題を抱え込んだりする必要はない。卒業生にとっても、「ここはいつでも戻ってきて安心できる場」。教会学校で自信を取り戻し、また日本社会に戻っていくことができると、ロサさんはこう話す。
 「教会の役割とは、みんなの居場所であること。この教会学校は、子どもを中心にしたみんなの教会になっていると思います」
 卒業生の一人、ウエハラ・カラロジョバンナさん(18)は、「私は(日本の生活で)大変だった時、『(私を守ってくれる)神様はいる、マリア様はいる』と(信じ、乗り切ることができました)。若い子に、神様を知ってほしいという気持ちです」
 ビエイラ・ダ・シルバ・マリアさん(16)は、小学6年生の時に家族と共にブラジルから渡日した。当初は日本語で苦労も多かったが、高校入学後は「めっちゃいい女子の友達ができて、毎日助けてもらった」。今は保育士になるのが夢で、しばしば教会学校の手伝いに来るが、「来ると(ミサの聖書朗読など)いろんなことを頼まれてしまう」と、笑顔で話していた。

教会学校開催中の、夕刻の上野教会聖堂。
聖堂は6月末に始まる工事で取り壊され、
来年、新聖堂が完成する。建設中、ミサや
教会学校は聖堂の隣の建物で行われる予定

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