米最高裁、「一時保護資格」の停止を支持 ハイチ出身カトリック信者、在留に懸念

目次

米最高裁、「一時保護資格」の停止を支持 ハイチ出身カトリック信者、在留に懸念

【タコマパーク(米メリーランド州)7月1日OSV】ハイチのカトリック信者は、毎日、とりわけ試練の時にしばしば行うように、この日も聖母マリアに祈り願った。なぜなら米国の連邦最高裁が6月25日、米国に住むハイチやシリア出身の移住者を強制送還から守り、一時滞在を認める制度である一時保護資格(TPS)に対して、トランプ政権はこれを停止することができるという判決を下したためだ。
 その3日後の28日、ワシントン教区に属するハイチ出身のカトリック信者共同体は、ハイチの守護聖人である「絶えざる御助けの聖母の記念日」を祝う主日のミサに参列した。米国メリーランド州タコマパークにある悲しみの聖母聖堂で、フランス語とクレオール語でささげられたこのミサには数百人が集まり、ハイチのアンサボー・ミラゴァネ教区のピエール・アンドレ・ジュマ司教が主司式し、10人の司祭が共同司式した。
 入祭の行列では、一人の男性がハイチの国旗を掲げて歩き、「絶えざる御助けの聖母」のイコンを乗せた台座を4人の男性が担いで続いた。その後、ジュマ司教がイコンに献香して祝福した。
 今回の最高裁判決により、米国に住み、働いている約35万人のハイチ出身の移住者が強制送還に直面する可能性が出てきたのだが、彼らの母国はここ数年、ギャングによる暴力や政治的な混乱が続いているのだ。
 ミサで共同司式をした司祭の一人、ルーク・フィロジーン神父は、ワシントン教区の報道機関「カトリック・スタンダード」の取材に電子メールで応じ、ワシントンの大都市圏では、数百のハイチ出身の家族がTPSを受けており、その中には多くのカトリック信者の共同体も含まれている、と述べた。

 絶えず聖母に信頼を置いて

 「2010年以来、ハイチの状況は悪化の一途をたどっています。現在の社会政治的な状況により、情勢は悪化しています。人々は家や仕事を失い、事業もうまくいきません」。ハイチ出身者でTPSを利用している人の何人かは、米国ですでに15年も暮らしている、とフィロジーン神父は付け加えた。
 「彼らはこの制度に順応しようと一生懸命働いてきました。家族もいますし、家もあります。キャリアも重ねてきました」「家も車も持ち、子どもたちも育てています。自国にいたら行わなかったであろう仕事もしています。米国で生まれ育った人々なら、恐らくやりたがらないような仕事です。彼らはあらゆる分野で活躍し、助け、働き、生計を立てています」
 TPSによる保護が彼らのような移住者から剝奪されれば、就労許可も失うだろう、とフィロジーン神父は懸念する。
 28日のミサ後の茶話会でのインタビューで、ジュマ司教は、自身の説教の中で、ハイチ出身者はあらゆる「苦しみ、希望、期待」を聖母マリアに委ねるよう信者たちに語った、と述べた。
 さらにイエスが十字架につけられたとき、イエスが聖ヨハネに「見なさい。あなたの母です」と声をかけたことを思い起こさせ、「これはヨハネに対してだけではなく、私たちに対しても向けられたことばです」と、説明した。
 そして司教は、マリアのような信頼を持つよう信者たちを励ました。「マリアは私たちのためにとりなしてくださいます。神はマリアを信頼しています。なぜなら、マリアは『はい』と答えたからです」
 「マリアは信頼の母だと説明しました」とジュマ司教は語り、米国では人々が使う紙幣に「私たちは神を信じる」と印刷されていることを引き合いに出し、人々はその言葉を「紙幣にだけではなく、心にも刻むべきです」と強調した。
 また、その言葉は神のいつくしみの信心の中心にあるものだとも述べた。つまり「イエス様、私はあなたを信じます」という信頼を意味する。司教は、私たちに神に信頼を置いた生き方を教えてくれる「絶えざる御助けの聖母」、おとめマリアへの祈りで説教を終え、最後に「マリアこそが、神に信頼を置いて生きた人物です」と述べた。

6月28日、米国メリーランド州タコマパークにある「悲しみの聖母聖堂」で行われた、ハイチの守護聖人である「絶えざる御助けの聖母」を記念するミサで、ハイチの国旗を掲げる一人の男性に続き、聖母のイコンが乗った台座を担ぎ入れる四人の男性たち。このミサは、ワシントン教区に住むハイチ出身者のカトリック信者共同体のためにささげられた (OSV News photo/Mihoko Owada, Catholic Standard)

  • URLをコピーしました!
目次