教皇、スペインへ使徒的訪問 マドリードの王宮でスピーチ
【マドリード(スペイン)6月6日OSV】教皇レオ14世は6月6日、ローマから2時間半のフライトを経て、現地時間午前10時10分ごろスペインの首都マドリードに到着した。教皇専用機のタラップを降りた教皇は、国王フェリペ6世とレティシア王妃に迎えられた。ローマ教皇の同国訪問は2011年のベネディクト16世以来となる。
マドリードは、7日間にわたるスペイン訪問の最初の都市。この後、バルセロナとカナリア諸島を訪問する。
教皇の乗る車がマドリードのアルムデナ大聖堂を通りかかると、若者たちは熱狂的に歓声を上げた。王宮に着くと、21発の祝砲に迎えられ、教皇はフェリペ6世と並んで王宮の中庭を歩き、王室関係者との私的面会に向かった。その後、国の指導者に向けて最初のスピーチを行った。
「スペインを訪問したのは、信者の皆さんがあらためて福音に忠実であるよう支え、励まし、力づけるためです。同時に、スペインのさまざまな人々の間のより一層の和解と協力が深まるためです」と、教皇はマドリードの王宮で行ったスピーチの中で語った。
王宮内のホールに集まった政府関係者と外交団に向けて、教皇は深刻な分断状態にある同国に対し、「対立を招き、二極化させる主張」はいったん棚上げにするよう求めた。
「現在、二極化をあおって、国民の支持を得ようとする誘惑は減少するどころか、大きくなっているようです。そして人間の尊厳は侵害され続けています」「だからこそ、私たちは文化、内面性、無償の質の良い教育を必要としていますし、超越的存在を必要としているのです」
そして「現代の教会は、和解と平和を求める人々の未来のために、自らをささげる用意があります」と教皇は付け加えた。
最も二極化した国に聖人たちの模範示す
最近の調査によると、スペインは世界で最も二極化が進んだ国の中に入っている。2026年度版のエデルマントラストバロメーター(信頼度調査)によると、スペインで回答した人の75%が、深い社会的分断の指標となる「異なる価値観を持つ人を信頼しない思考様式」を持っていることが分かった。
そのようなスペインに、教皇は同国の黄金期の神秘家、十字架の聖ヨハネの著作を、現代のスペインが対峙(たいじ)する課題への霊的財産として取り上げた。
「公の生活の中でさえ、私たちは暗闇の中にある光に気付ける人々を必要としています。その光とは、新たな始まりで、私たちにはまだ分からない真理の夜明けのようなものです。もし私たちが信頼し、平和を見いだすなら、その光はその下へ私たちをそっと導いてくれるでしょう」と言った後、十字架の聖ヨハネの『霊魂の暗夜』を引用した。
次に教皇は、アビラの聖テレジアの霊魂の城のイメージに目を向け、「内面の部屋に向かって、部屋から部屋へと移動するとき、つまり、自分自身の心、真理の神聖な場所に近づくとき、空間は広がり、心は開き、課題は乗り越えられ、緊張は解け、他者はそれぞれの場所を見つけ、宇宙は家となるのです」と述べた。
「これは自分自身の中へ逃げ込むことではなく、心を根本から開くことです」と教皇は説明し、そのような内的自由こそ、まさに「信教の自由と良心の自由が守られなければならない理由なのです」と続けた。
「共生」の歴史を持つスペイン
さらに教皇は、スペインの歴史にある「共生」についても強調した。それは16世紀前、イベリア半島では何世紀にもわたりキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が共生していたからだ。13世紀には、賢王として知られるカスティーリャの国王アルフォンソ10世の下に、翻訳者の一団があったことを指摘。そこでは三宗教それぞれの学者たちが協力し合い、アベロエスやマイモニデスといった哲学者の作品を翻訳していた。またイスラム教文化とキリスト教文化が交差するコルドバとトレドの都市は、対話の永久的な模範だと述べた。
「私たちがあまりにも頻繁に兵器や壁に見いだそうとする安全は、実際のところ、共に手を携えて進んでいくことを学ぶことによって、最も有効に成し遂げられるのです」と教皇は語る。
教皇がスペインに向かう前日の夜、バチカンは教皇がスペイン滞在中に、聖職者による性虐待の被害者と私的に面会することを発表した。
フェリペ6世は、王宮に教皇を迎える際のスピーチで、この面会の重要性を強調した。教皇がその場に居ることが「癒やし、被害への償いの過程において、とても重要です。犠牲者、信者、教会、社会全体のためにも、それらが重要になります」。

