長くフランスに住み、キリスト教関係の多くの著作を発表している竹下節子さんの最新刊『カトリックの缶詰――フランスと日本のはざまで』(オリエンス宗教研究所)の出版を記念する講演会が4月25日、松原教会(東京・世田谷区)聖堂で開かれた。40人余りが参加した。
竹下さんは、第2バチカン公会議(1962~65年)で「信教の自由は人間の尊厳」だと表明されたことで、キリスト教へのアプローチ方法が自由で多様になり、聖職者に限らず誰でも、あらゆるタイプの研究ができるようになったと説明した。そして公会議後、アジアやアフリカへの宣教が進み、それらの地域で司祭や信徒が増えたとも指摘。
また日本では、キリスト教の聖母マリアへの信仰が仏教に影響を与えて作られたと考えられる多くの「子安観音」や「マリア観音」が存在することを紹介。そして日本人の特性とされる「本音と建前」は、当面の争いや不和を避けるためのものであり、原理主義とは正反対の精神性であるとも指摘した。
カトリックが第2バチカン公会議でたどり着いた「信教の自由は人間の尊厳」、別の言い方をすれば「全ての人の救済に役立つものであれば、さまざまな道がある」という考え方は、日本人の精神性に合致しており、日本は第2バチカン公会議の精神を体現できる可能性がある国だと説明した。
講演会に参加した仁平(にへい)純子さん(64/東京・関町教会)は竹下さんの話を聞いて、宗教にかかわらず、隣にいる弱い立場の人と共に生きることの大切を感じ取ったという。
竹下さんと高校の同窓で、質疑応答で質問をした金武完(きむ・むーわん)さん(74)は、キリスト教を知識としては知っていたが、「内容は非常に濃かったです。20世紀後半に科学技術が発展したものの限界が来て、キリスト教(などの霊的なもの)が必要だという人が増えているということが意外でした」と話した。

※竹下さんは、現在ウェブマガジン「AMORー陽だまりの丘」で「フランス・カトリシズムとは何か」を連載中。
