短歌・俳句 5月

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短歌・俳句 5月

◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ

出航を待つ船のごと停泊す夜の玄関に子のスニーカーは         熊本 矢澤 麻子

【評】帰省した息子の大きなスニーカーを船に見立てている。「停泊」に大型船が浮かび、明日はまた遠くへ働きに出る息子へエールと無事を祈る母のまなざしも、感じられる。

先の先すべて読みたる加藤一二三銀を繰り出す駒音高し         三鷹 関  靜男
寂しさをサラサラこぼし登る坂空っぽな風と凛と立つ胡桃        逗子 田丸 有希
花窗玻璃はまだ見ぬ土地のものらしい炬燵から出る理由がひとつ      はっとり ゑぬ
異国への遠き憧れ この心をFernweh(フェルンヴェー)と知る独語辞書 東京 笹浦  泉
カップにはレモンの輪切り淹れたてのニルギリ注ぎて春の香を聞く    広島 瀬尾 直子
「ばんざ~い」を聞きたくなくてテレビ消す たちまち静かな雪景色の夜 横浜 西前 敦子
わが掌もてしてあげたかった夫の掌に悔ひのひとつにアロマテラピー   横浜 森山美智子
隣家より鳩サブレーを頂きぬ小鳥の声を褒めしお礼と        東久留米 平山  努
久方の雪に埋もれし黄の花汝が名は菫小さくも強し         さいたま 古閑 和則

(作品の応募方法は短歌応募フォームをご覧ください)

◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎

◎落椿見上ぐる空の青さかな  大牟田 岩永美智子
【評】落椿に未だある生気を確と感じている作者
◎麦の芽や生後十日の受洗式   東京 山口 岳人
【評】幼児洗礼の尊さを季題に託して詠んでいる

寒風や祈りの列の西坂へ    長崎 中ノ瀬小夜子
冬薔薇滲みし色の強さかな    秦野 小泉早由美
下萌の丘容赦なくブルドーザー  和泉 中里 君子
春寒し母の電話にある孤独    芦屋 平田ひろみ
誓願の知らせ友から春近し    豊橋 赤澤  進
十字切る指ぎこちなく年暮れる  川崎 小田 俊作
道行きの静かな祈り春浅し   春日井 遠藤 晶子
指先をあたためつ弾く雪のミサ  宇部 中村 清子
旅立ちを忘れ波間の残り鴨    福岡 三谷 淑美
日当りを気にす花屋に二月尽  西東京 一色 菊江
鈍色の髪梳く如し朧月      府中 荒井 美邦
うかれ猫恋のやつれかうたた寝か 神戸 平尾 孝子
春風や水平線のいさぎよさ    仙台 三宅 温子
荒波の岩間に遊ぶ波の花    名古屋 成田 友子
鰆船大漁旗を靡かせて           選者吟

(作品の応募方法は俳句応募フォームをご覧ください)


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