イスラエルがレバノン攻撃 停戦合意を巡り認識の違い

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イスラエルがレバノン攻撃 停戦合意を巡り認識の違い

【ベイルート(レバノン)4月9日OSV】イスラエル軍からの壊滅的な攻撃を受け、レバノンでは死者数が増え続けている。この状況に、駐レバノンローマ教皇庁大使、パオロ・ボルジャ大司教は、爆撃は「正しい道ではない」と語った。
 4月8日に発表されたバチカン・ニュースとのインタビューに答えて、ボルジャ大司教は「イスラエルとの関係においてレバノンの安定化のために、同国での停戦と交渉の開始」を求めた。大司教はマロン典礼カトリック教会アンティオキア総大司教座のベチャラ・ライ枢機卿と共にレバノン南部を視察していた。
 「戦闘状態は容易なものではありません。分裂を深め、死と破壊の種をまくだけです。ご存じの通り、イスラエルの狙いはヒズボラの非武装化ですが、その目標は達成されていません。停戦にもっていければ、交渉への扉が開かれるでしょう」
 イスラエルは4月8日、レバノンにいるヒズボラを標的とするとして攻撃を押し進めた。少なくとも254人が死亡し、数百人以上が傷を負った。
 複数の報道によると、イスラエル軍は、ベイルート、ベッカ渓谷、南部地域を含むレバノンの100以上の場所を標的とした。米国とイランの間で、停戦合意にレバノンが含まれるのかを巡り、意見の相違が鮮明化した。イスラエルのレバノンへの攻撃を受け、イランはホルムズ海峡を封鎖した。その一方で、米国とイスラエルは、パキスタンが仲介した停戦案にレバノンは含まれていないと主張している。AP通信が報じた。
 4月8日に停戦が発表された後、イスラエルのベニヤミン・ネタニヤフ首相は、レバノンは合意に含まれるとするパキスタンの主張を否定した。J・D・バンス米副大統領も、ハンガリー訪問時に記者団に、レバノンは合意に含まれないと語り、「(パキスタンの認識は)明らかに誤解だ」と述べた。
 米国のABCニュースによると、バンス氏は「米国もイスラエルも、それが停戦合意の一部だとは言っていない」と語ったという。

 教会はレバノンと共にいる

 イスラエルの攻撃について、ボルジャ大司教はバチカン・ニュースに「このような攻撃は今までありませんでした」と語り、「いまだに多くの人々ががれきの下敷きになっているでしょうから」、死者数はさらに増えるだろうと続けた。
 「レバノンは多くの戦争を経験してきたので、今回の攻撃が最悪なのかどうか分かりません。どの戦争も耐え難く、巻き込まれる人々や環境が異なります。全ての戦争に違いがありますが、もたらすものは同じで、苦痛とさらなる破壊です。50年以上も戦争に巻き込まれてきたレバノンを思うと、今が最もつらい時期だとは誰も言い切れません」と大司教は胸の内を語った。
 さらに、ベイルートや南部の村々には「計り知れない苦しみ」があると大司教は指摘する。「未来に対する不安と不確実性が多い上に、孤立しているという孤独感も」あるという。
 「この人たちはどこにも行く所がないのです。自分たちだけで重荷を背負っているように感じています。だからこそ、私たちはその人たちの所に行くのです。そうすることで、普遍教会、レバノンの教会、特に教皇様は共にいるのだと感じてもらえるはずです。同時に悲劇の中を生きる人々を助け、支援する多くの善意の人々がいるのだとも感じてもらえるはずです」
 この展開に国際社会、特に欧州の指導者たちが声を上げた。スペインのペドロ・サンチェス首相は4月8日、自身のX(旧ツイッター)に、ネタニヤフ氏の「いのちと国際法への侮辱は受け入れがたく、レバノンも停戦合意に含まれるべきだ」と投稿した。
 イタリアのジョルジャ・メローニ首相も、国連レバノン暫定軍に派遣したイタリア軍に、イスラエル軍が威嚇射撃をしたことを受けて、声明を発表し、サンチェス氏と同様にイスラエルを非難した。
 国際社会からの非難を受けて、ネタニヤフ氏は4月9日に自身のXを更新し、「イスラエルはレバノンと「できる限り早急に、ヒズボラの非武装化と両国の平和的な関係構築のために、直接交渉」を開始すると投稿した。

4月8日、イスラエルによる空爆で死亡したムハンマド・ゼイン・アルアービディーン・シハブさんの翌日の葬儀で涙を流す母親と妻。米国とイランの間で合意された停戦が、認識の相違により、破綻の危機にある中で、イスラエルはレバノンに潜むとされるヒズボラを標的とすると主張し、レバノンに空爆を行った。少なくとも254人が死亡し、数百人以上が負傷した (OSV News photo/Mohamad Azakir, Reuters)
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