短歌・俳句 4月
◆ 短歌 ◆ 選者 春日いづみ
病床より身を乗り出して水たまりにうつる初日に手を合わす友 秋田 畑山真理子
【評】病床にあれば初日を見に行くこともできません。せめてもと水たまりに映った初日を拝む友の姿が「身を乗り出して」に表現されています。回復を願う必死な友の思いが伝わります。
本たちにわが来し方のしづまりて捨てかねてをり冬日やはらか 横浜 森山美智子
背をなでてさつと爪切る老い猫は「あはれみたまへ」のアリア聞きゐて
三鷹 関 靜男
馬といふひと字に託す命毛の佳き年なれと祈る書き初め 福岡 三谷 淑美
目の見えぬ人を導く大型犬バスでは主人の足の間に 横浜 吉村 一
贈られし八丈絹のネクタイを堅めに締めて教壇に立つ 東京 植竹 雄太
久久に餅つき見ては臼と杵漢字二つを思ひ出したり 東久留米 平山 努
翻訳のこもごもありし労苦超え常に奇跡ぞ日本語聖書 新発田 樋口 るか
今はもう何もお返し出来ぬのに薬はあまた袋にいっぱい 横浜 永井 栄司
伊木力のみかんの里で四百年少年使節のミゲルは眠れり 横浜 西前 敦子
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◆ 俳句 ◆ 選者 稲畑廣太郎
◎水仙や待合室に凛として 草加 長谷部禎子
【評】待合室に楚々(そそ)と生けられた水仙のかれんな姿
◎突き上げる神学院の蕗の薹 調布 田邉 久義
【評】春を告げる蕗(ふき)の薹(とう)の地を割る強さが描けた
聖母像静かに立てる日向ぼこ 浦安 篠塚 歴山
年酒酌む紙のコップの底に金 豊中 岩田 都世
多摩川の流れ変らぬ去年今年 川崎 守田 光代
寒明けて時間変更英語ミサ 大阪 酒井 湧水
賀状には平和を運ぶ馬描き 川崎 吉田千津子
思ひ出は宝箱へと年始 佐世保 川口 栄子
ミサ終へし山の教会風花す 神戸 西村みどり
竜の玉青年は声出さず泣く 東京 脇谷 善之
天上の夫を偲びて去年今年 神戸 内田 泰代
天指して春待つ小枝語り合ふ 福岡 木本 敬子
去年今年吸ひ込まれゆくチャペルかな 伊丹 上野惠津子
初富士に目もくれず指スクロール 那須塩原 荒川千衣子
戦場はパン無き世界雑煮かな 蓮田 向田 良子
石抱くやうに張り付く冬の蝶 神戸 涌羅 由美
水仙の楽園ありと香り立つ 神戸 髙橋たづ子
茶会とて和服の妻や日脚伸ぶ 神戸 屋代 弘忠
杉花粉スカイツリーを包み込み 選者吟
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