「被造物は叫びを上げている」 教皇、COP30にビデオで

【バチカン11月18日CNS】「被造物が叫びを上げて」、数億もの人々が気候変動と環境汚染に苦しんでいるにもかかわらず、政治家たちは行動ができていない、と教皇レオ14世は訴えている。
 ブラジル北部ベレンで開かれている国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が11月17日、開催の最終週に入る中、教皇は関連行事を開いているキリスト教の代表や活動家たちにビデオメッセージを送った。
 2015年のCOP21で採択された「パリ協定」は「実質的な進展をもたらし、私たちが人々と地球を守るための最強の手段であり続けています」と教皇レオはメッセージで強調する。
 「ただ、私たちは率直に言わなければなりません。うまくいっていないのは協定ではなく、私たちの対応に不備があるのです」と教皇は指摘する。「その怠りは、何人かの政治的意思によって起きているのです」
 教皇レオ14世は、その責任がある国家を名指しはしなかったが、米国がCOP30に代表団を送っていないのは、ドナルド・トランプ大統領が同国を「パリ協定」から離脱させたためだ。
 「真の指導者の務めは奉仕であり、実質的な効果をもたらす規模の支援をすることです」と教皇はくぎを刺す。「より強力な気候対策は、より力強く公正な経済システムをつくり上げます。強力な気候対策と政策は共に、より公正で安定した世界への投資となります」

 行動によって「希望と決意を新たに」
 
 「被造物は洪水や干ばつ、嵐や酷暑のうちに叫びを上げています」と教皇レオは訴える。
 「3人に1人の人が、こうした気候変動のために非常な脆弱(ぜいじゃく)性のうちに生活しています」と教皇は続ける。「その人たちにとっては、気候変動は遠く離れた脅威ではなく、こうした人々を無視することは、私たちが共にする人間性の否定を意味します」
 全世界の190カ国以上から派遣された代表団は、温室効果ガスの排出量削減や化石燃料への依存軽減について最終合意のとりまとめに苦心している。
 教皇レオ14世はキリスト教の活動家たちに自身の考えを伝える。「世界の気温上昇を摂氏1・5度以下に抑えるための時間はまだあります。ただ、その機会はもう失われつつあります」
 「私たちは神の被造物の管理者として、迅速に行動することを求められています。信仰と預言によって、私たちに委ねられているたまものを守るのです」と教皇は呼びかける。
 神のたまものである被造物を守るために、「私たちは、科学者、指導者、あらゆる民族と信条の牧者として共に歩んでいます」。
 「私たちは被造物の守り手であり、利権を争うライバルではありません」と教皇は指摘する。「私たちは共に、世界に向けて明確なメッセージを発信しましょう。国家として、パリ協定に基づき、そして気候対策の協力で、揺るぎない連帯のうちに立ち上がるのです」
 教皇レオ14世は活動家たちに語りかける。数多くの難題があっても、「皆さんは絶望よりも希望と行動を選び、一致協力する世界共同体を築いています」。
 その努力による成果は上がっているが、「まだ十分ではありません。言葉と志だけでなく、目に見える行動によっても、希望と決意を新たにしていかなければなりません」と教皇は付け加えた。

国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開かれているブラジル北部ベレン。対岸のコンブ島からドローン(無人機)で11月8日に撮影 (CNS photo/Alex Ferro, COP30)


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