【マナグア(ニカラグア)4月14日OSV】今年の「枝の主日」(受難の主日)の4月13日、ニカラグアの首都マナグア教区大聖堂の外を多数の警官や民兵たちが取り囲み、教会敷地内でしか典礼をささげられないように圧力をかけていた。あからさまな脅しのメッセージだ。
大聖堂の中では、マナグア教区大司教のレオポルド・ブレネス枢機卿が、こうした嫌がらせを無視して、ミサ説教でゆるしについて説いていた。
「ゆるしは主の受難から来ています。苦しみと痛みの体験の実りを形づくるもので、愛によって成し遂げられることなのです。そしてキリスト・イエスがそれを成し遂げられたのは、ご自分に委ねられた使命だったからです」とブレネス枢機卿は強調する。「私たちが疑いを抱くとき、このことを強く思いましょう。神が私たちを愛され、そして愛し抜かれたことを思い起こしましょう。教皇フランシスコが私たちにおっしゃったように、神はあらゆることをゆるし、私たち皆をゆるしてくださるのです」
ニカラグア全土のカトリック信者は、左翼サンディニスタ政権が3年連続で公の行列を禁止して監視を強める中、聖週間を祝っている。
こうした制限は、「共同大統領」のダニエル・オルテガ氏と妻ロサリオ・ムリージョ氏による抑圧の深まりを示している。夫妻はカトリック教会の指導者たちを「テロリスト」呼ばわりし、多数の聖職者たちを国外に追放した上に教会活動に対する規制強化に努めてきた。
「ニカラグアの独裁政権は市街での行列を禁止しました。彼らが防げないのは、十字架につけられた方が示される勝利です。それは真実と正義のための闘い、人間の尊厳を守るための闘い、犠牲になった人々のための連帯の闘いにおける勝利なのです」と国外に退避しているマナグア教区のシルビオ・ホセ・バエス補佐司教はソーシャルメディアへの投稿で強調している。
バエス補佐司教は2019年に安全上の理由で出国し、米南部フロリダ州マイアミ地域で、追放されたニカラグア人たちの司牧に当たり、サンディニスタ政権による抑圧を非難してきた。
小教区にもスパイ警察は司祭を脅迫
政権による抑圧で増えているのは司祭に対する脅迫で、司祭たちは警察や民兵、小教区の信者にも監視されている、と複数の教会観測筋が指摘している。人権監視組織「チャーチ・ソリダリティー・ワールドワイド」によると、司祭たちは定期的に警察署に出頭し、1週間の活動予定を詳細に報告しなくてはならないという。司祭たちは許可なく地元自治体から出ることができず、聖職者の追放で司祭不足の他教区に出張してミサをささげることもできない。ミサ中の発言にも注意が必要だ。
「説教では、一致または正義について話したり、収監された教会指導者のために祈ること、国内の一般的な情勢について話したりすることさえも、政府に対する批判とみなされ、犯罪として扱われる」と同監視団体の報告は伝えている。
ミサにはいつもスパイが参加していて、小教区共同体にも入り込んでいる。警察も常に司祭を脅すために教会に来るという。
