米枢機卿3人が声明を発表 「真の道徳的な外交政策を」

【ニューアーク(米ニュージャージー州)1月19日ОSV】3人の米国の枢機卿が共同声明を発表し、「私たちの国、アメリカのために真の道徳的な外交政策」を策定するよう求めた。米国は「冷戦の終結以降、世界での自国の動きに対する道徳的基盤について、最も深刻で痛烈な論争」に巻き込まれている。
 シカゴ教区のブレーズ・J・スーピッチ枢機卿、ワシントン教区のロバート・ウォルター・マケルロイ枢機卿、(ニュージャージー州)ニューアーク教区のジョゼフ・ウィリアム・トービン枢機卿の3人は1月19日、声明を発表し、教皇レオ14世が1月9日に在バチカン外交使節団へのあいさつの中で述べた考えを、外交政策の「永続的な倫理的羅針盤」とするよう強調している。
 声明で枢機卿らは「ベネズエラ、ウクライナ、グリーンランドの事例」を取り上げ、「軍事力の使用と平和の意味について、基本的な疑問」を投げかけている。
 米国は年明けに、ベネズエラに軍事介入し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束し、麻薬密売に関与したなどとして、米国へ移送した。
 ここ数週間の間にも、トランプ大統領はデンマーク自治領グリーンランドを買収によって、あるいは武力行使によって、獲得すると明言。この案に反対するデンマークを含む、欧州数カ国に追加関税を課すと脅しをかけた。
 ロシアのウクライナ侵攻も念頭に、枢機卿らは「世界に今までにないほど戦争が広まり、国家の自決権という主権的権利はあまりにも脆弱(ぜいじゃく)すぎるように見えます」と声明で懸念を表した。「国益と共通善のバランスは、完全に二極化した意味で捉えられています」

 教皇の外交政策を基盤に

 この3人の枢機卿は「世界の悪に対峙(たいじ)する際の私たちの国の道徳的役割、生きる権利と人間の尊厳の尊重、信教の自由の保障が全て、あらためて問い直されています」と強調した。
 続けて「現在、そして未来の人間の健全性にとって非常に重要な公正で持続可能な平和の構築は、党派主義におとしめられ、それによって二極化と政策の破綻が進んでいます」と批判。
 第2次世界大戦後の秩序――国連憲章が、国の主権平等を認め、国家は「武力による威嚇または武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも…慎まなければならない」と規定している――がほころぶ中、枢機卿らは教皇レオ14世が1月初めに示した「国際関係のための真の道徳的基盤」に従って、再検討を求めた。
 枢機卿らは、教皇レオが1月9日の外交団へのあいさつで表した警告を引用。「対話を推進し、全ての人の合意を追求する外交は、単独国ないし同盟国グループによる力による外交に取って代わられつつあります」「戦争が流行となり、戦争への熱意が広まっています」と教皇は述べ、第2次世界大戦後に制定された武力を用いて他国の境界を侵すことを国家に禁じた原則は、「完全に破られています」と付け加えた。

 軍事侵攻参加は良心に従って 

 「司牧者として、市民として、私たちは米国のために、真の道徳に基づいた外交政策の策定という考え方を大切にしています。真に公正で恒久的な平和、イエスが福音の中で宣(の)べ伝えられた平和の構築を望んでいます」と枢機卿らは語った。
 そうして、「狭量な国益のための道具となる戦争を放棄し、軍事行動は国家政策の正常な手段ではなく、極端な状況での最終手段でなければならないと宣言します。人権、信教の自由を尊重して推し進める外交政策、世界中の人権を特に経済援助を通して、守るような外交政策を望みます」
 枢機卿らは、「米国の政策の道徳的基盤を巡る議論が、両極端で党派主義になり、限られた経済的・社会的利益だけを追求している」ことを嘆く。
 しかし、「教皇レオ14世は私たちに、プリズム(新たな視点)を示してくださいました。それを通して、議論はさらに高次元へと引き上げられるでしょう。私たちはこれから数カ月、できる限り高みへと達するよう、説教し、教え、提唱していきます」と枢機卿らは、意気込みを語った。
この枢機卿らの声明は、ティモシー・ブロリオ米国従軍教区大司教が、BBCのインタビューに、カトリック信者の兵士は良心に従って、グリーンランド侵攻の参加命令に従わなくても構わないと発言した翌日に発表された。

1月15日、ドローンから写したグリーンランド最大の都市ヌークの全景。ティモシー・ブロリオ米国従軍教区大司教は1月18日、ラジオのインタビューに応じ、米兵は良心に従って、「道徳的に疑わしい」グリーンランドへの侵攻作戦の参加命令に従わなくても構わないと語った (OSV News photo/Marko Djurica, Reuters)
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