ニケアは廃虚でも残る「信条」 キリスト者を一つに、と教皇

【イズニク(トルコ)11月28日CNS】かつての古代都市ニケアは廃虚の中にあり、キリスト教の地理的中心は西方に移ったが、教皇レオ14世とキリスト教指導者たちは考古学的遺跡に集まり、永続する信仰を告白する「ニケア信条」を記念した。
 東方正教会コンスタンチノープル総主教のバルトロマイ1世が11月28日午後、イスタンブールの南東約130キロのニケアがあった町イズニクで、超教派の礼拝と共通の「信条」を唱える式を主宰した。
 ギリシャ正教会のアンティオキア、アレクサンドリア、エルサレムの総主教または代表使節、他の東方諸教会や聖公会、プロテスタント諸教会の代表と共に、教皇レオ14世はニケア公会議開催1700年を祝った。この記念が教皇の初めての国外訪問の主目的だった。
 今は部分的にイズニク湖に水没している聖ネオフィトス教会の遺跡を見下ろす見晴し台に立ち、教会指導者たちは順に、英語とギリシャ語、アラビア語で祈りを唱え、ろうそくに火をともした。カトリック教会の聖歌隊はラテン語で、東方正教会の聖歌隊はギリシャ語で歌い交わした。
 教皇レオはバルトロマイ1世のあいさつに続いて、諸教会の指導者たちに、人類が「暴力と紛争に悩まされている」この時に、世界は「和解を求めて叫びを上げている」と語りかけた。
 「イエス・キリストを信じる全ての信者の間の完全な一致への願いには、常に全人類の間のきょうだい愛の探求が伴っています」と教皇は強調する。「私たちは『ニケア信条』のうちに、『御父である唯一の神』への信仰を告白しています。それでも、神の似姿につくられた全ての人を兄弟姉妹として認めることを拒むなら、御父としての神に祈り願うことはできなくなります」

 一致して「希望を告げ知らせる」

 教皇レオ14世はイズニクで指摘する。父である神への信仰が意味するのは、「民族や国籍、宗教または個人の考え方には関係なく、全ての人々の間にきょうだい愛があるということです」。
 「さらに、私たちは断固として、戦争や暴力、または、あらゆる形の原理主義や狂信的言動の正当化に宗教を利用する行為を拒絶しなければなりません」と教皇は訴える。「そうではなく、進むべき道は、きょうだい愛にあふれる出会いと対話、協力なのです」
 教皇レオはキリスト教指導者たちに、イエスへの同じ信仰を分かち合い、「信条」を共に唱えられることが意味するのは、「全てのキリスト者を既に一つにしている深い絆がある」ことだと語りかける。
 「私たち皆が、残念ながらいまだに存在する分裂という不名誉を克服し、そのために主イエスが祈り、いのちを差し出された一致への願いを育むよう招かれているのです」と教皇は呼びかける。「私たちが和解を深めるほど、私たちキリスト者は、いっそうイエス・キリストの福音を信頼できる形で証しできるようになるのです。それは全ての人のための希望を告げ知らせることです」

教皇レオ14世は11月28日、トルコのイズニクで、東方正教会コンスタンチノープル総主教バルトロマイ1世らキリスト教指導者たちと共に超教派の礼拝に参加した。この礼拝で、325年に「ニケア信条」を生み出し、基本的なキリスト教教理を定めたニケア公会議の開催1700年を記念した (CNS photo/Lola Gomez)
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