【バチカン11月16日CNS】教皇レオ14世は11月16日、聖年の「貧しい人の祝祭」に当たって昼食会を開く前に、ミサをささげ、全てのキリスト者が「温かく人を迎え入れ、ゆるして、傷の手当てをし、慰めて、癒やす神の愛」を分かち合うようにと祈った。
数万人の移住者や難民、家のない人、失業者、トランスジェンダー(性自認が一致しない人)の共同体のメンバーがバチカンの聖ペトロ大聖堂内やサンピエトロ広場でミサにあずかる中、教皇レオは会衆に、こう語りかける。「私たちの個人の生活や社会の中で、迫害や苦しみ、苦闘や抑圧を体験していても、神が私たちを見捨てることはありません」
そうではなく、「主は私たちの味方をしてくれる方として、ご自身を現されます」と教皇は、「貧しい人のための世界祈願日」のミサ説教で強調した。
バチカンによると、大聖堂内でミサに参加した人は6000人で、サンピエトロ広場の大スクリーンでミサを見守った人は2万人だったという。教皇がミサ後に「お告げの祈り」を主宰するまでには、4万人が広場に集まっていた。
「お告げの祈り」の後に、パウロ6世ホールで開かれた昼食会は、創立400年を迎えた聖ビンセンシオ・ア・パウロ会が主催し、参加者へ食事を提供したほか、食料や衛生用品が入ったリュックサック1500人分を配った。
昼食会のメニューは、野菜のラザーニャから始まり、チキンのカツレツと野菜の付け合わせ、デザートとしてシロップを染み込ませたナポリの小さなケーキ「ババ」が続いた。ロールパンとフルーツ、水やソフトドリンクも供された。
「一人一人に思いやりを示す」
教皇レオ14世はミサの説教で、「聖書全体は、神の物語を伝える共通の糸で織り上げられています。神は常に最も小さくされた人や親を亡くした人、寄留者や夫を亡くした人のそばにおられます」(申命記10・17~19参照)と語った。
イエスの生涯と死と復活のうちに、「神の寄り添いは愛の頂点に達します」と教皇は続ける。「こうしたことから、キリストの現存とみことばは、最も貧しい人の歓喜とヨベルの年となるのです。主は貧しい人に良い知らせを告げ、主の恵みの年を説くために来られたからです」(ルカ4・18~19参照)
教皇は貧しい人に奉仕するカトリック信者に感謝を表しつつ、貧しい人自身にも、主イエスご自身が語られた決定的なことばである「ディレクシ・テ(わたしはあなたを愛した)」を聞いてほしいと願う。
「そうです。私たちの小ささと貧しさを前にして、神は誰よりも私たちを見つめてくださり、永遠の愛で私たちを愛してくださいます」と教皇は強調する。「そして、主の教会は、今日でさえも、そして恐らく私たちの今に時代にこそ、いまだに古くからと新しい貧困に傷ついていますが、『貧しい人の母、歓迎と正義の場』になりたいと願っているのです」と自身の貧しい人への愛についての使徒的勧告「ディレクシ・テ」からの引用を交えて説明する。
物質的、道徳的、霊的な多くの形の貧困がある中で、その全てに共通し、特に若者たちを苦しめているのが孤独感だと教皇は指摘する。
教皇レオ14世は、こう付け加える。「そうしたことが私たちに求めるのは、貧困を総合的に捉えることです。それというのも、確かに時として緊急な必要に応えることも求められるのですが、私たちはさらに、思いやりの文化を育まなければならないからです。それはまさに孤独の壁を打ち壊すためです。ですから、私たちはどこにいようと、どこに住んでいようと、他者に、全ての人一人一人に思いやりを示していきたいのです」

