トランプ政権の移住者政策に異議 米国司教協「特別司牧メッセージ」

【ボルティモア(米東部メリーランド州)11月12日OSV】米国カトリック司教協議会は11月12日、東部ボルティモアで開催中の秋季司教総会で、「わが国での移住者についての私たちの懸念」を表明する「移住についての特別司牧メッセージ」を採択した。
 この声明文の発表は、米国司教団の中でトランプ政権による移住者政策の幾つかに教会にとってのリスクを認める司教の人数が増えていることを示している。司牧的支援と慈善活動の双方に実践上の困難をもたらし、信教の自由についても難題を投げかけているからだ。
 12日の夕方に公表された声明文は、「私たち米国の司教団は司牧者として、私たちの主イエス・キリストのうちに交わりと共感の絆で国民の皆さんと結ばれています」と述べている。
 「私たちは人々が移住者に対する線引きや法執行にまつわる恐れと不安の風潮にさらされていることに困惑しています」と声明文は強調する。「私たちは現在の移住者に対する論調や誹謗(ひぼう)中傷の状態によって悲しみを覚えています。拘束施設での状況や司牧ケアを受けられない事態に憂慮を表します。私たちは米国内の移住者の相当数が恣意的に法的地位を剥奪されていることを嘆かわしく思っています」
 「私たちは礼拝施設の聖性や病院と学校の特殊性に対する脅威について苦悩を覚えています」と声明文は続ける。「子どもたちを学校に送る間にも自分が拘束される恐れに苦しむ親たちに会うとき、そして既に愛する人から引き離されてしまった家族を慰めるときに、私たちは深い悲しみを覚えます。どんな障害や偏見に遭っていようとも、各世代の移住者たちはわが国の健全性のために計り知れない貢献をしてきたのです」
「私たちはカトリック司教として、わが国を愛していて、その平和と繁栄のために祈っています。まさにこうした理由から、私たちは現在の環境下で、神から授けられた人間の尊厳を擁護する私たちの声を上げずにはいられないのです」

 人間の尊厳と国家の安全は矛盾しない
 
 同司教協議会の声明文は、移住者についてのカトリック教会の社会教説にも言及し、次の三つの互いに関連する原則の間で均衡を保つ必要を説く。・自身と家族の生活を維持するために移住する個人の権利・国境と移住について統制する国家の権利・正義といつくしみを伴う法規を制定する国家の義務。
 カトリック教会の教説が「各国家に勧めているのは、移住者を含む全ての人の基本的な尊厳を認めることです」と声明文は強調する。「私たち司教団は、わが国の移住者関連法規と執行手続きを意味のある内容に改革することを提唱します。人間の尊厳と国家の安全は矛盾するものではありません」
 「その両立は、善意の人々が協力して努力すれば可能です。私たちは、国家には国境を統制し、共通善のために公正で秩序ある移住制度を策定する責任があることを認識しています。そのような過程を経なければ、移住者たちは人身取引やその他の形態の搾取に遭う危険があります。安全で合法的な経路が確保されれば、そのような危険を回避することができます」

11月7日、米中西部イリノイ州シカゴ郊外で、移民関税執行局による移住者への強制執行に抗議するデモ参加者たちを拘束する州警察と地元警察署の警官 (OSV News photo/Carlos Barria, Reuters)
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