【バチカン6月23日CNS】今日の富裕層と貧困層の間の巨大な経済格差は容認できず、一握りの人々に膨大な富が集中している、と教皇レオ14世は批判する。
政治指導者には共同体全体の福祉を推進する責任があり、それは特に弱い立場に置かれた人や疎外されている人、貧しくされている人を守ることによらなければならない、と教皇は、聖年の「各国政府の祝祭」で民主主義と諸宗教対話についてローマで開かれていた会議に出席した国会議長や議員たちに向けて強調した。
「健全な政治は資源の公平な配分を促進し、国内外で一致と平和に効果的な奉仕を提供することができます」と教皇は指摘する。
教皇レオ14世は6月21日、バチカンで、議員らとの謁見を開いた。謁見に参加したのは、6月19日から21日までローマで開かれた国際議会同盟の会議の出席者たちで、各国の国会議長や議員、諸宗教の代表、政府、国際機関、宗教関連団体、市民団体、学術界の代表だった。
教皇レオ14世は謁見の演説で、参加者たちの責任は「いかなる特別な利害からも独立して、特に弱い立場に置かれている人と疎外された人を擁護することによって、共同体の善、すなわち共通善を推進し、守る」ことにあると語った。
「このことは、例えば、少数の人の手に集中した膨大な富と世界の貧しい人々の間の受け入れ難い不均衡を乗り越えるために努力することを意味します」と教皇は説明する。「極限状態の中で暮らす人々は、自分たちの声を聞いてもらうために叫び声を上げますが、しばしば誰も彼らの訴えに耳を傾けようとしません」
「この不均衡が、恒久的な不正の状況を生み出し、それが容易に、暴力と、また遅かれ早かれ、戦争の悲劇をもたらします」と教皇は指摘し、より公平な資源の分配を促した。
「人工知能は人間の善のための手段」
教皇レオ14世は、人工知能(AI)がもたらす挑戦も政治は無視することはできないと強調する。「その反対に政治は、この新しいデジタル文化が生み出す問題を正しく信頼と懸念をもって見つめる多くの市民に応答するよう招かれています」
「現代世界における文明の達成度と、皆さんが達成すべき目標は、いま人工知能という形態において大きな挑戦に直面しています。人工知能は間違いなく、社会にとって大きな助けとなる発展です。ただしそれは、その利用が人間の人格のアイデンティティーと尊厳と人間の根本的な自由を損なわない限りにおいてです」
「人工知能は人間の善のための手段として機能するのであり」、人員の削減や人間に取って代わるために使われるべきではないと教皇は強調する。
「私たちの個人的な生活は、どのようなアルゴリズム(課題を解決するための処理方法)よりも大きな価値を持っています。また、社会的な関係は、魂を持たない機械があらかじめ用意できる限定されたパターンをはるかに超える、発展のための場を必要とします」と教皇は付け加えた。
