【メキシコ市(メキシコ)6月11日OSV】メキシコ司教協議会は米西部ロサンゼルスで続く抗議デモの中、「迫害と暴力に苦しんでいる」移住者たちへの連帯を表明している。
同司教協議会は「全ての人の尊厳と権利の尊重」を求めている。抗議デモの様子を伝える動画では、メキシコの国旗を打ち振る移住者たちの姿や逮捕の瞬間が映っていて、メキシコ国内と同国政府から懸念の声が上がっている。
「心痛と憂慮とともに、私たちは複雑な状況を注意深く見守っています。こうした状況は有効な書類のない移住者たちの大規模検挙の結果として起きたカリフォルニア州ロサンゼルスでの抗議行動によって持ち上がっていて、抗議デモは他の地域にも広がっています」と、同司教団移住者司牧委員会を率いるエウヘニオ・リラ・ルガルシア司教(マタモロス・レイノサ教区)が署名した声明は述べている。同司教協議会会長のラモン・カストロ・カストロ司教(クエルナバカ教区)と同事務局長のエクトル・ペレス・ビジャレアル補佐司教(メキシコ市教区)も6月10日に発表された声明に署名した。
同司教団の声明は、ロサンゼルス教区のホセ・オラシオ・ゴメス大司教の次のような発言も引用している。「私たちは全員が、有効な書類がなく私たちの共同体でテロリストまたは暴力的犯罪者として知られる移住者はいらないという点で一致しています。ただ、普通のよく働く移住者たちと家族の間に恐れや不安をもたらすような法執行活動を政府が行う必要はありません」
ルガルシア司教は声明を続ける。「大多数の有効な書類のない移住者たちは、自分たちが生活し、働いている共同体のために貢献しているのです。有効な書類のない移住者の問題を解決するには多面的な協力が求められます。その中で考えられるのは、手続きを正しく行えるようにする移住制度で、かえって自分の立場を悪くするだけの手段に訴えなくてもよくすることです」
普通の移住者は「米国経済に貢献」
抗議デモは6月6日、米国の移民税関執行機関がロサンゼルスのラテン系住民が多い地域で大規模検挙を行ったことを受けて始まった。抗議デモは続いて、同州のサンフランシスコやテキサス州のオースティンにも広がった。
ドナルド・トランプ大統領は翌7日、ロサンゼルスへの州兵派遣を命じ、700人規模の海兵隊員の動員も発表した。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、米国で働くメキシコ人移住者を擁護する発言を繰り返していて、同国の外交官が領事活動を通して保護に当たっていると強調する。
「私たちの姿勢はまず、何よりも優先して人権を尊重することにあります。移住者の人権を侵害して、まるで犯罪者であるかのように扱うことは容認できません。彼らは誠実な労働者で米国経済に貢献しているのです」とシェインバウム大統領は7月9日、声明で述べた。
