福岡、大阪高松、名古屋の各教区を巡ったワールドユースデー(WYD/世界青年の日)大会の十字架とイコンが、最終地の東京教区へ。5月10日に「『聖年×青年イベント』~WYDの十字架とイコンがやってくる~」が麴町教会と東京カテドラル関口教会で行われ、さまざまな国にルーツを持つ青年と司祭や修道女ら約500人が集まり、十字架とイコンに祈りをささげた。
このイベントはアンドレア・レンボ補佐司教(東京教区)が、同教区の青少年委員会と聖年準備委員会の司祭らに呼びかけ企画された。
過去のWYD世界大会にも参加している青少年委員会の野口邦大(くにひろ)神父(東京教区)は、2023年のポルトガル・リスボン大会の『十字架の道行(みちゆき)』で、この十字架とイコンが掲げられている場にいた。
その時のミサの説教で、教皇フランシスコは『十字架は、最も偉大な愛の最も大きなしるしです。その愛をもって、イエスはわたしたちのいのちを抱擁することを望まれます』と述べた。
「私たちは自らの十字架を見つめるよう招かれています。27年に行われる韓国・ソウルでのWYDに向けて、青少年たちの参加への意欲を高めることと、世界各地(特に困難な状況にある地域)で多くの人の祈りをのせた十字架を通して、私たちと共にいてくださる主キリストの愛をいかにして深めていくことができるのかが、今回のイベントの中心テーマとなりました」
イベント当日は東京教区の青年もスタッフとして関わった。
まず参加者は麴町教会へ集合し、①「WYDの十字架とイコンの歴史と意味」②「聖年の全免償とゆるしの秘跡」③「希望の旅」についての講話を聞いた。
②について講話した冨田聡神父(33/東京教区)は、ゆるしの秘跡について次のように話した。
私たちは神様から愛され祝福されていることを実感できずに、バイトや推し活、動画見放題などに時間を費やすが、いつもどこかに虚しさや後悔が残る。
どこまでいっても完全に満足することはできないが、「よく自分の心を見つめてみてください。『私はもっと何か人生をかけるに値する何かを見いだして生きていきたい』そう願う自分がいるはず」で、「この望みこそ、神様から愛されていることの確たる証拠です」と強調する。
「イエスは、その一番深い傷、痛み、苦しみ、葛藤の全てを癒やしたいと思っています」
「だから皆さん、勇気をもって自分の魂の一番重荷になっていることを告白してください」と話してから、イエスは裁くためではなく、ゆるすために待っていると呼びかけた。
次に麴町教会からカテドラル関口教会へ約1時間、4・3㌔の道のりの徒歩巡礼を行った。
到着後、参加者は日本語のほか、英語、韓国語、ベトナム語、ミャンマー語など、自分の心の内を明かしやすい言語に分かれて、ゆるしの秘跡にあずかった。

その後、青年たちが十字架とイコンを担いで入場し、イベント最後のプログラム、多言語でのミサが行われた。
説教でレンボ司教は、大陸や世代を超えて世界中の若者たちの心を一つにしたこの十字架を迎えた私たちは、十字架の意味を深く考えるよう招かれていると語りかける。
「キリストの十字架は、主イエスの人類に対する、深く、尽きることのない愛のしるしであり、またそれは、キリストの死と復活の中にこそ真の救いと贖いがあることを全ての人に告げ知らせるものです」
「イエスに従うとは、単に教えを守ることではなく、自分の人生の中心に十字架を据え、それを通して神の愛を生きることを意味」し、私たちの目を他者へ向けさせ、そのメッセージを自分自身の言葉と行動によって世界に示すという使命を受け取ることだと強調する。
「貧しい人、忘れられた人、傷ついた人の中にキリストを見いだし、希望をもたらす証人となることが、私たち一人一人に託されている」と語りかけ、祈りへ導いた。
共同祈願や聖歌はさまざまな言語で唱えられ、参加者は十字架とイコンに祈りをささげた。
ミャンマー出身のロイ・ヌーさん(27/東京・秋津教会)は「いろいろな国からの参加者がいましたが、心が温かくなって、とても楽しくて、みんなで一つになりました。自分がカトリックの信仰を持っていることを、素晴らしいと感じています」と喜びを語る。
ロイさんの同郷の友人、ジャー・デイムさん(31/さいたま・所沢教会)は「一人一人はバラバラのところから来たけれど、今日は集まったら一つになって、みんな同じという気持ちになりました。感動しています。27年のWYDにぜひ行きたいです。今から貯金を始めようと思います」と笑顔で話した。
次回のWYD開催国・韓国出身のソ・ハンナさんは、今回のイベントがWYDの広報を超え、多くの青年たちが信仰の中で一つになる大切な機会だったと言う。
「さまざまな国籍の若者たちが希望を分かち合う姿を通して、WYDの本当の意味を先に体験することができました。この経験が、聖年とWYDへと向かう旅の貴重な土台になると信じています」
十字架とイコンは、次の目的地であるフィリピン・マニラへ旅立った。
