復活節第6主日 5月25日 ヨハネ 14・23ー29 世界広報の日 聖霊と平和を与える約束

十字架に死んでいく前にイエスは親しかった弟子たちと食事を共にし、その中で長いあいさつをしました。それはただのあいさつではなく、別れのあいさつでした。その一部分が本日のヨハネ福音書の内容です。
弟子たちをこの世に残していくことになるイエスには、言っておきたいことがたくさんあったことでしょう。また、弟子たちはイエスがいなくなってしまうことに恐れと不安を感じていたに違いありません。
そのような弟子たちを励ますために、しかも具体的に励ますためにイエスは二つのものを与えると約束します。「聖霊」と「平和」です。

ヨハネ福音書は聖霊という言葉をあまり使いません。「弁護者」「真理の霊」と言い換えています。
弁護者というのは「そばに呼ばれた者」という意味だそうです。困難や試練の中にある人が助けを呼んで誰かに自分のそばに来てもらうことを表す言葉です。「いつもそばにいて慰め、励まし、助けてくれる」、それが弁護者である聖霊の働きです。
イエスは十字架に死んでいくけれども、聖霊という形で弟子たちのところに必ず戻って来ることを約束しました。やがて聖霊は実際に弟子たちに遣わされ、その聖霊の促しと励ましによって弟子たちはイエスの後を引き継いでキリストの福音を宣(の)べ伝える者になっていきます。

もう一つイエスが与えると約束したのは平和です。これはわたしたちが一般的に考える平和とは少し違います。
平和というと、一般的には、戦争や自然災害などがない状態を考えるでしょう。また、病気やけががなく健康であることも平和と呼ぶでしょう。
イエスが与える平和は神から与えられる本当の平安、心の安らぎのことです。現実には戦争や自然災害などがあります。病気やけが、困難や試練もあります。そのような厳しい状況にあっても神に信頼することによって与えられる心の平安、安らぎこそがイエスが与えると約束した平和です。

弁護者である聖霊とイエスからの平和が与えられますようにと、わたしたちはミサをささげるたびに聖霊を求める祈りと平和を願う祈りを唱え、平和のあいさつを交わしています。イエスが与えると約束してくださっている聖霊と平和に励まされ、支えられながら、わたしたちは信仰の道を歩み続けます。
(立花昌和神父/東京教区 カット/高崎紀子)

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