【マンダレー(ミャンマー南西部)3月31日OSV】ミャンマー南西部マンダレー・サガイン地方域を震源として3月28日に発生した大地震による死者が増え続ける中、国民は緊急に人道支援と医療援助を必要としている。
ミャンマー司教協議会会長のチャールズ・マウン・ボ枢機卿(ヤンゴン教区)は、既に内戦で疲弊している上に大地震に見舞われた国内での即時停戦を求めている。
ロイター通信によると、3月31日時点で死者が2000人を超え、負傷者も3900人に上っているとされているが、余震も続いた大地震による行方不明者は数百人いて、死者はさらに増えるとみられる。
国連人道問題調整事務所(OCHA〈オチャ〉)のミャンマー事務所は3月30日、X(旧ツイッター)への投稿で、今回の大災害で「厳しい人道危機に直面して既に深く傷ついている国民にさらなる圧力」がかかっていると指摘した。
「人々は緊急に避難所や医療ケア、水や衛生支援を必要としている」とOCHAミャンマー事務所は訴えている。
同国2位の都市マンダレー付近を震源としたマグニチュード7・7の地震で、道路や建造物、宗教施設などが破壊された。
地震後も空爆継続国軍に非難集まる
即時停戦を求める祈りと訴えは力を増している。
バチカンで健康の回復に努めている教皇フランシスコも、ミャンマーのための祈りを呼びかける。3月30日に公表された「お告げの祈り」のメッセージで、教皇は「大地震でもひどく苦しむミャンマー」など、世界の紛争地域での平和のために祈った。
ボ枢機卿は声明を発表し、教皇の祈りに感謝しつつ、「パゴダ(仏塔)やモスク(イスラム礼拝所)など、礼拝施設で亡くなった方々」への弔意を表した。
同枢機卿は、カトリック教会による「食料や医薬品、避難所など、いのちに関わる必要に応えるため、支援態勢を強化する」とした上で、国内で続く内戦の即時停戦が、「地震と長引く紛争の双方によって苦しんでいる人々への」人道支援を行うために「絶対に必要」だと訴えている。
「この人道危機は、緊急に敵対をやめることを求めています。私たちは緊急に、全紛争当事者による即時かつ全面的な停戦を訴えます。国内外からの支援が安全に妨害を受けずに届けられるためです」とボ枢機卿は声明で述べている。
2021年にクーデターを起こして文民政権を倒した国軍は、国内の多数の反政府勢力との戦闘で民間人に対する暴力を働き、非難を受けてきた。
各反政府勢力は一方的に地震による被災地域での2週間の停戦を訴えているが、国軍は地震後も反政府勢力の支配地域への空爆をやめていないと報じられている。
国連ミャンマー人権状況特別報告者のトム・アンドリューズ氏は、英国BBC放送によるインタビューで、国軍の空爆継続は「全く言語道断で容認できない」と憤り、「人々を救助しようとしている時に爆弾を落とし」続ける国軍の行為は「信じがたいと言うしかない」と訴える。
「とにかく国軍に対して、やめるように、あらゆる軍事作戦をやめることを求めます」
