人生を観想して理解する助けに 教皇、映画監督や俳優らと会見

【バチカン11月15日CNS】教皇レオ14世は11月15日、世界的に有名な映画監督や俳優たちと会見し、映画には人々が「人生を観想して理解する」助けとなり、「その素晴らしさともろさを物語として、無限への憧れについての解釈を示す」力があると語った。
 バチカン使徒宮殿のフレスコ画で飾られたクレメンスの間での教皇謁見に参加し、最前列に座っていた人々の中には、映画監督のガス・バン・サントやスパイク・リー、俳優のモニカ・ベルッチやケイト・ブランシェット、ビゴ・モーテンセン、2024年の映画「教皇選挙」で伝統主義者のテデスコ枢機卿を演じたセルジョ・カステリットがいた。
 教皇レオ14世は数日前に公表された動画で、自身が好きな4本の映画は、「素晴らしき哉、人生」(1946年、フランク・キャプラ監督)、「サウンド・オブ・ミュージック」(65年、ロバート・ワイズ監督)、「普通の人々」(80年、ロバート・レッドフォード監督)、「ライフ・イズ・ビューティフル」(97年、ロベルト・ベニーニ監督)だと明かしていた。

 人の心のうちを示すことは愛の行い
 
 教皇レオは映画監督や俳優たちにこう語りかけた。「美しさは、ただ逃避のための手段ではありません。何よりも、祈りなのです」
 「映画が本物であれば、ただ慰めをもたらすだけでなく、問いかけてくるはずです」と教皇は指摘する。「私たちのうちにある問いを明らかにして、時には、思いもしなかった涙を誘うことさえあるのです」
 「私たちの時代には、希望と美しさ、真理の証しが求められています」と教皇は続け、映画監督や俳優こそがその証しをすることができると強調する。
 「人間の尊厳を守り、促進するために本物のイメージを取り戻す力は、素晴らしい映画とそれを制作し、その中で演じる人々にあります」と教皇は映画関係者を励ます。
 本物の映画を作るためには、「この世の傷と向き合うことを恐れないでください。暴力や貧困、追放や孤独、依存症、そして忘れられている戦争は、はっきりと見せて、語られなければならない世の傷です」。
 「素晴らしい映画は苦悩を利用することはありません」と教皇は指摘する。「それに寄り添って、掘り下げます」
 教皇レオ14世は映画関係者たちに促す。「人の心のうちにある複雑で矛盾をはらみ、時には暗い感情を示して見せることは、愛の行いです。芸術は弱さの神秘から逃げてはいけません。弱さに関わり、その前にとどまるすべを知らなくてはなりません」
 教皇は講話の最後に祈った。映画関係者の働きが「驚きをもたらす力を決して失わず、たとえ少しでも、神の神秘を私たちに垣間見させてくれますように」

11月15日、バチカン使徒宮殿のクレメンスの間で開いた映画関係者との謁見で、映画「教皇選挙」で伝統主義者のテデスコ枢機卿を演じたイタリアの俳優セルジョ・カステリットとあいさつを交わす教皇レオ14世(CNS photo/Vatican Media)
  • URLをコピーしました!
目次