この映画は、パレスチナ・ガザの人々を追ったドキュメンタリー作品。土井敏邦監督は34年にわたって繰り返しガザを訪ね、時に現地の家庭に住み込みながら取材、撮影を重ねてきた。「死者の数で報じられるパレスチナ人」ではなく、「私たちと同じ人間」を伝えたかった、と監督は話す。映画はニュース映像では見えない、ガザに生きる「人」の現実を丁寧に映し出す。
本作は2部に分かれ、第1部ではパレスチナ人の一家族「エルアクラ家」の25年間を追う。一家の父親は、イスラエルに故郷を追われ、各地を転々とした末にガザ最大の難民キャンプ「ジャバリア」にたどり着いた。長男はイスラエルによるパレスチナ人の土地の占領に抵抗し、イスラエル当局に拘束されたり、身に覚えのない罪で投獄されたりする。大学を卒業しても長く失業状態を強いられ、家庭を持つことにも困難が付きまとう。政治家たちの選択は、世代を超えてこの家族に影響し続ける。その中でも互いを思いやり、家族を尊重する姿は尊く、監督自身、「この一家は私の人生の学校だった」と後に語っている。
第2部は、イスラム抵抗運動組織ハマスとガザの民衆との関係を追う。2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃は、ガザの住民に何をもたらしたのか、現地ジャーナリストM氏は兄弟を砲撃で亡くしながらも、追い詰められていく民衆の思いを命懸けで発信し続ける。
ナレーションはなく、登場人物の語りだけでつなぎ、日本語字幕が付く。第1部120分、第2部85分。詳細は公式サイト参照。
本作は現在、自主上映を呼びかけている。申し込みに対しDVDが有料で貸し出されるのでDVDプレーヤーとテレビ(モニター)があれば小規模な会場でも上映会ができる。上映料は規模に応じて1万円から。上映会の詳細は、自主上映申し込み案内サイト参照。
