聖地のキリスト教共同体 聖墳墓教会への移動制限

【ベツレヘム(ヨルダン川西岸)4月20日OSV】ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖カタリナ教会の信者席はいっぱいで、復活の主日のミサにあずかった信者たちはカラフルに着飾っていた。
 その何人かは伝統に従って親類たちと共に地元小教区のミサに出ていたが、それ以外の多くの信者は、10キロも離れていないエルサレムの聖墳墓教会への移動許可をイスラエル当局から得られず、伝統的にイエスが十字架につけられて埋葬された場所とされる聖地での復活祭ミサにあずかることができなかった。
 前週には、ラテン典礼エルサレム総大司教座が、5万人いるヨルダン川西岸のキリスト者のうち6000人に復活祭の移動許可が出ていると発表していた。
 ところが、実際には許可証があっても、聖土曜日にエルサレムに入る検問所で越境を拒否された人が多く、仕方なく地元小教区でのミサに参加していた。
 エルサレムの聖墳墓教会で行われる東方正教会の伝統的な復活の「聖なる火」の儀式に参加しようと検問所に向かったが、「非常に攻撃的な対応」を受けて引き返した人々もいる。
 聖墳墓教会での「聖なる火」の儀式の様子を伝える動画では、エルサレム旧市街のキリスト教徒地区でのイスラエルによる厳重な警備の様子が映っている。暴力的な衝突とキリスト教徒を乱暴に押し戻す警官隊の姿が見られ、聖墳墓教会に向かうのを阻止しているのが分かる。
 同教会内で「聖なる火」の儀式に参加した東方正教会の信者は4月19日、ロシア正教会の巡礼者たちが警察と衝突し、アルメニア使徒教会とギリシャ正教会の聖職者の間でも争いがあったと語った。

 エルサレムの教会は正義と平和を生き抜く

 ギリシャ正教会エルサレム総主教座は報道声明を発表し、警官たちが「聖なる都を戦闘地帯」に変えてしまい、「バリアを設けて信者たちが教会に行けないようにし、スカウトや地元の信者と世界中からの巡礼者に対して暴力を振るっている」と非難した。
 ラテン典礼エルサレム総大司教のピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿は、「復活の主日」のミサ説教でこう強調した。空の墓に象徴されるキリストの復活は、ただ死に打ち勝ついのちを祝うだけでなく、特に苦しみと争いのただ中で求められる勇気と共感と希望に満ちた証しをすることを意味する。
 エルサレムの教会、そして今日の全てのキリスト教徒には、たとえ暗闇の時にあっても、復活の力を愛とゆるし、正義と平和で生き抜き、告げ知らせる責任がある、と同枢機卿と呼びかけている。

4月20日、ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖カタリナ教会での「復活の主日」のミサに参加した
パレスチナのカトリック信者たち(OSV News photo/Debbie Hill)
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